第45話 テイム2体目




 大ボスは見つからないし、PKプレイヤーに邪魔をされるわ。

 まさか、メリッサが退場してしまうとか。


 PKプレイヤーのカロナにやられたわけでもないが、カロナにHPがあと僅かまで追い詰められ、運悪く後から現れた複数のモンスターにやられてしまった。

 だから、大ボス探索は中止にして、解散していた。そして…………




 ーーー『女神の使徒』様が大ボス、サテバウムを初回討伐に成功致しました!




 初回討伐を先越されたのだ。『女神の使徒』は、第1~3位がいるパーティで、初見だったのにクリアしていた。

 掲示板に大ボスの居場所、どんなボスだったか投稿されており、ウイルスを扱うモンスターだった。中ボスやイベントのことから考えれば、想像は出来た。


 あの赤い部分はウイルスに侵された特徴で、そのウイルスによって操られていた訳ね。…………まぁ、すぐに挑まないけどね!


 情報は揃ったからと言っても、大ボスへソロで挑んで無駄死をするつもりはない。パーティでも討伐時間は30分以上も掛かったのに、ソロとなれば、何時間掛かるのか…………

 という訳で、ソロになったヨミがこれからしようとしている事はーーーーーー




「2体目をゲットするどー!」




 ここは西門の森を越え、別フィールドに入った所だ。北門は草原だったが、西門は墓場が広がっていた。

 ここは昼間の時間でもアンデッドがウロウロできるように、夜だけのフィールドとなっている。


「さてと、何処にいる~?」


 ヨミはここで2体目をテイムしようと考えていた。レベル5になってから、2体目をテイム出来るようになっていたが、PKやイベントなどで忙しくて、後回しにしていた。ソロの時間が出来たので、2体目をテイムしようと、動き出した訳だ。

 しかし、墓場フィールドで探そうとしていることから、またアンデッドを仲間にしようとしているのか?




「うーん、ゾンビとスケルトンとグールばかりだなぁ。あの館よりレベルが高いけど……」


 ヨミが探しているモンスターはこう言うモンスターではない。


「邪魔よ」

「ガタガタ」


 ナイフを投げ、骨の脚を破壊してからドルマで頭を吹き飛ばす。それが、スケルトンに対しての有効な戦い方だ。ただのスケルトンなら、群れるだけで敵ではないが、その上位であるソルジャースケルトンとなると、連携してくるから少々厄介だが。


 ちらほらとソルジャースケルトンもいるけど、レベルはスケルトンより低いから楽勝だね。


 少数だが、野生のモンスターもレベルアップして、進化することもある。運営がバランスを取りつつ、適度に野生同士で戦わせ、レベルアップや進化をさせているのだと思われる。





「あ、いたわ」


 ヨミが探していたモンスターはレアではないので、普通にポップしている。そのモンスターはーーーーーー




モンメ レベル14




 モンメと言うモンスターは、紙の妖怪であり、包帯のように長い身体を持っている紙のモンスターだ。

 何故、モンメを2体目のモンスターにしようと思ったのか? それは、このゲームにログインしてから1度も使ってこなかったスキルの為だ。


「長さは……うん、充分ね」

「シュアァァァ」

「え、そんな鳴き声なんだ? って、口がないのに、どうやって……」


 と、考える前にモンメが襲いかかってきた。浮いている紙のモンスターに襲われても怖くはないが、『拘束』を持っているのを知っているので、そう簡単に接近させない。ナイフを投げ、近付かせない。


「『魚群アロー』」


 『魚群アロー』はLV3になったことで、放った後に1度だけ曲げることが出来るようになっていた。痛みや感触がないので、モンメは小魚達を気にせずに真っ直ぐに突き進んでいたーーーーーーヨミに誘導されていたことに気付かないままで。

 愚直に真っ直ぐへ向かってくるなら、攻撃を与えやすくなっている。そこを狙いーーー


「『スーパースラッシュ』ーーー」


 峰で強威力の打撃技を放ったが…………モンメが柔らかすぎて、風を切ったとしか感触を感じられなかった。


「打撃が効かない!?」

「シュアァァァ……シュ!?」

「久しぶりに出たわね」


 『スーパースラッシュ』は効果無しだったが、もう1つのモンスタースキルが発動した…………『追斬』だ。

 攻撃した後、遅れてもう一撃の攻撃が虚空から現れる、『追斬』によって、モンメのHPバーが減る。


「柔らかすぎて、打撃が効かないなら突くか、斬るまでよ!」


 隙が出来たモンメへ突きを放ち、地面へ固定した後にアイテムボックスから初期の剣で斬りまくる。


「シュアァァァ!!」

「根性があるわね! 捕まっても拘束を諦めないのは!!」


 モンメは諦めず、固定されていない長い尻尾みたいな部分でヨミを拘束しようとする。しかし、位置的にヨミの方が有利で、ナイフを投げるだけで尻尾も固定されてしまう。HPが赤になるまで斬り付けーーーーーー






「これで充分かしら? 『テイム』!」


 『テイム』を発動すると、アナウンスが聞こえた。




 ーーヨミはモンメのテイムを成功しました。




 テイムに成功し、名前を決めようとした所に…………メールが届く。


「ん? 誰…………運営!? また、運営からぁ?」


 よく運営からメールが来るなと思いつつ、名前は後にしてメールを開いた。そのメールには…………ヨミが思っていなかったことが書かれていた。




『モンメをテイムしたことをおめでとうと言わせてください。『防具化』持ちがモンメをテイムしたことで、カスタムが可能になりました。

 やり方については、モンメを防具化してから、説明が始まります…………運営より』




 か、カスタム?


 この説明だけでは、わからないのでメールに書いてあった通りに『防具化』を使う。最初から『防具化』で装備するためにモンメを探していたので、やり方を指示されても問題はなかったーーーーーー




「これは!?」




 モンメをカスタム。どんなことが出来るのか? それがカスタムして、完成するまでは1時間ぐらいも掛かるのだった。









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