第27話 特殊クエスト 前半
ふぅん、全部見せてくれるとは思っていなかったけど、『身軽』を持っているのは確かね。
先程、ラダムを飛び越えたネタは『身軽』で自分自身の体重を半分以下にするスキルを使っているのだと見破った。もしかしたら、他のスキル効果かもしれないが…………とにかく、テイトクの戦い方は大体わかってきた。
「これが我の戦い方だ。この辺なら1人で余裕だ」
「そうみたいですね。でも、クエストは2人以上ではないと受けられない理由がわからないね」
「そうだな、数が多いかもしれん。まぁ、それでも、我の敵ではないが」
「数が多いかもしれないね……」
ヨミはクエストを受けたのはいいが、討伐数については何も言われなかった。ボスみたいに限られた場所で盗賊を倒し続けろのクエストみたいなやり方になると思うが、まだ何もわかっていない。
「まぁ、盗賊に出会えばわかるでしょう」
「しかし、まだ見つからんな」
ラダムを倒した後も様々なモンスターと戦ったが、まだ盗賊1人も現れない。
メリッサと一緒だったら、あっという間に時間切れになっていたかもね。
森の中に入ってから既に1時間以上経っていた。森の奥へ進み、そろそろ平原へ出てしまいそうだった所に、それが現れた。
ーーーこの先へ進むと、盗賊討伐が特殊クエストへ移行されます。進みますか? 進まれますと、最初のクエストより格段に難易度が上がります。
「これは!?」
「特殊クエスト!? ここにこんなイベントが潜んでいたのか。我らは運がいいな!!」
特殊クエストは、ギルドでは発行されておらず、様々な場所に潜んでいるクエストであり、クリアすれば、普通のよりもいい報酬が貰える。
「もちろん、進むよな?」
「ええ、このチャンスは逃せないわ」
「わかっているね!!」
この先へ進めば、特殊クエストが始まる。それを理解し、脚を進めていくとーーー
ーーー特殊クエストへ移行します。『護衛と全滅』の特殊クエストが開始されます。
そのアナウンスが流れた後、村人の少女が倒れているのを見つけた。
「……護衛はこいつか」
「そうみたいね……!?」
倒れている少女を見つけ、近づくと周りに青い線が現れた。ボス戦みたいなパターンだが、囲む線の色が違う。
ーーー1人が少女を護衛し、街へ連れていき、残りは残るように。
「成る程。2人以上ではないと駄目の理由がわかったわね……」
「なら、我が残る。そなたは街へ連れていくがいい」
「なら、ドルマを残して…………無理だわ」
言われた通りに少女を背負って、ドルマを残したまま、青い線を越えたがドルマも自動的に青い線の外へ送られてしまう。
「戻れば、中に入れそうね。負けないでよ?」
「ふん、我に何を言っている? どんな敵でも的に成り果てさせてやるさ」
「本当に油断はしないでね。急げば、30分で着くから、往復で1時間だから」
「問題はない。街でゆっくりしておればいい」
テイトクは自信満々でヨミを送り出した。その後にまたアナウンスが流れた。
勝利条件
①護衛する少女を無事に街へ送る。
②盗賊を200人討伐する。
両方ともクリアすれば、この特殊クエストがクリアとなります。
ーーー開始。
「200人か……ヨミには問題ないと言ったが、ちょっち多いな」
そういい、森のあちこちから盗賊が湧くように次々と現れてくる。それに対して、テイトクも銃を構え、弾を撃ち出していくーーーーーー
「そう簡単に行かせてくれないのね」
「ぐぁっ!?」
ヨミは襲ってきた盗賊を投げナイフで牽制し、ドルマがトドメをさしていた。ちょくちょく邪魔をしてくるので、思う通りには進まなかった。レベルは5以下と低いが、邪魔ばかりされたらイライラしてくる。
「……誰も見ていないよね?」
アルティスの仮面を付けることにした。『認識障害・惑』があれば、認識されにくくなり、探知にも引っ掛からない。更にドルマを装備しーーー
「失せなさい」
「ぎゃっ!?」
こっちを見失った盗賊に対し、ヨミは通る道に邪魔な盗賊だけを斬り伏せ、どんどんと進んでいく。それを繰り返して、30分ぐらいでようやく、街が見えるようになった。
「ふぅ、仮面は外して…………この子はどうすれば?」
「そこの人! 一体、どうしたんだ!?」
「あ、貴方に渡せばいいのか」
門へ近付くと、門番らしい男が寄ってきた。今まで、門番に話し掛けられることはなかったので、特殊クエストの為に準備された門番だと理解した。
「森の中で倒れていたのよ。では、私は急ぐからね!!」
簡単な説明をし、少女を渡すと護衛のクリアとアナウンスが聞こえた。だが、全滅の方はまだ聞こえていないので、まだ戦っているということ。なので、急いで戻ることにしたのだったーーーーーー
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