第16話 ドルマの道
ハーミンと別れた後は、レベル上げで経験値が高いモンスターがいる西のフィールドへ向かっていた。
確か、西のフィールドはパーティで推奨レベル7だけど、レベル8になったなら戦えるはず。
このフィールドは他のフィールドと違って、群れで行動するモンスターばかりなのだ。先程のパーティで推奨レベル7とは、パーティメンバーの二人以上がレベル7を超えていれば、戦えると言う意味で、ソロでのレベル7ではちょっと厳しいかも? の基準になっているのだ。
「もうここで戦っているパーティもいくつかあるみたいね……」
ここまで歩く途中に、知らない人からパーティへ誘われていた。西のフィールドで戦うために数を揃えていたのだろうが、ヨミはあくまで必要に急かされない限りは、ソロで行きたいので断った。
中にロリコンの匂いが混じっていていて、断られて落ち込む人も何人か目撃した。
「しばらくは恋愛するつもりはないから、そおっとして欲しいよ」
出来るだけ他のパーティとぶつからないように、森の奥に入っていく。
オーク レベル5
オーク レベル4
オーク レベル6
オーク レベル4
まず、一番目に出会ったモンスターはオークの群れだった。武器は全員が棍棒を持っており、連携を考えていないような動きでこっちへ向かってきた。
「まだ浅いところだからこんなもんか。ドルマ」
「「プギィィィ!!」」
技術もないただの振り下ろしをしてくるが、動作が大きいので避けやすく隙が大きい。
ここはドルマだけで充分かな?
ドルマは上手く刀身を使って受け流して、反撃をしていた。戦いをするごとに技術が上がっているような気がした。まるで、AIが入っているような……
もしかしたら、AIが入っているのかしら? 命令をしなくても、こっちがして欲しいことを汲み取ってくれているような……?
実際に、今はドルマに戦えと言っただけで細かい命令を出していない。なのに、ドルマはダメージを受けないように上手く立ち回ってカウンター戦法でオーク達を翻弄していた。
「オークは動きが遅いから複数相手でもやれるけど、ウルフぐらいのスピードタイプにはまだ厳しいかしら?」
ドルマもヨミと一緒に戦っている中でレベルアップを果たしていて、レベル9になっているが、ATKとAGIは伸び代が高いが、ヨミより低いまま。
まだドルマがランク1のモンスターだから、ステータスの上がりが低いのは仕方がないが、出来ればスピードタイプのモンスターでも上手く立ち回れるようになって欲しいと思っていた。
もし、AIが入っているなら、戦い方を学んで強くなってくれるはず…………なら、出来るだけ一緒に戦って立ち回りを見せた方がいい? それか、対人戦で勉強させる?
ヨミはこれからドルマをどうすれば、強くなれるか考えていた。ステータスの数字には現れない、思考力や判断力も育てたいので、プレイヤーの誰かに試合をして欲しいと頼む手もある。
「……ダメね、あまりドルマのことが知れ渡るのは悪手になりそう。あーもう! 今はまだいいや!! とにかく、レベルアップよ!!」
「ブ、ブブギィ…………」
ヨミが考え事をしていたら、既にオークはもうあと1体だけになっていて、これからトドメをさされるところだった。
グサッ!
オークの胸に突き刺さり、光の粒になっていった。倒し終わったので、次のモンスターを探しに行こうと思っていたらーーーーーー
ドルマがレベル10になり、進化可能になりました。進化先を選んで下さい。
はぇ? もう進化!?
聞き間違いかと思ったら、目の前に選択肢が表示されたので、もう進化できるようだ。モンスターによって、進化できるレベルが違うのは知っていたが、サビソドはレベル10で進化するまでは知らなかった。β版でサビソドをテイムした人はいなかったから、情報がなかったのだ。
選択肢↓
ソルド ランク2
カナタム ランク2
どんなモンスターなのか、名前の横にあった詳細ボタンを押すと説明文が現れた。
ソルド
剣からサビが取れ、普通の剣と同じ切れ味を取り戻している。ATKとAGIが高めになっている。
カナタム
変わった形質をした剣。刀のように片方が刃、峰(みね)になっていて、持ち手の所が握りやすくなっている。峰が分厚いので打撃の攻撃もできるようになっている。
その使いやすさから大昔、カナタムを武器にして戦う者が多かった。HPとATKが高めになっている。
説明文の長さがこれ程に違うかと苦笑していたが、これはドルマの行き先を選べと言っているように感じられた。もし、普通に魔物使いとして戦わせるなら、ソルド。ヨミが編み出した戦い方が増えるなら、カナタム。ソルドは武具化しても戦えるが、高くなるAGIが息をしなくなってしまう。カナタムを選ぶなら、HPが高くなり、武具化した際に耐久力もそのままの数値になる。
「……まぁ、考えるまでもないかな」
ヨミは目の前にある選択肢をポチっと押すとドルマが光り…………数秒で進化が終わった。ヨミが選んだのは、もちろんカナタムで下記が新たなステータスになる。
ステータス
名称:ドルマ(カナタム) ランク2
レベル1
タイプ1:アンデッド系
タイプ2:物質系
HP:320/320
MP:80/80
ATK:125
DEF:77
INT:6
MDF:24
AGI:47
LCK:9
モンスタースキル
『スーパースラッシュ』、『追斬』
ドルマの姿が変わり、サビも落ちていて剣の形と違い、片方が刃と峰になっていて、斬撃と打撃の両方を使えるようになっていた。更にステータスが強化されて、スキルも変わっていた。
『スーパースラッシュ』
『パワースラッシュ』の強化版。刃より峰で攻撃すると威力が上がる。
『追斬』
スキル無しで攻撃をする時に低確率で後から2撃目の斬撃が虚空から展開される。その威力は初撃の半分になる。
「『武具化』……お~、持ちやすくなっているわね」
一応、『鑑定』をしてみた。
ドルマ ATK+125
耐久力:320/320
『スーパースラッシュ』、『追斬』
やはり、ドルマの強さがそのままの性能になっている。
「ふひっ、早速新しいスキルと武器を試したいなぁ。モンスター、早く出てきなさいよ~」
更に強化されたことでヨミは機嫌が良くなって鼻唄を歌いながら次のモンスターを探し始めるのだった。
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