第12話 約束のブツ
ヨミはメールで送られた地図通りに進むと、大通りに出た。端には様々な露店が開かれており、その中の1つにヨミのフレンドであるメルナを見つける。
向こうもこっちに気付いて、手を大きく振っていた。
「こっちよ!!」
「大きな声を出さなくても聞こえているわよ」
「それはそうね!」
露店前に着くと、メルナは約束のブツを出して見せてくれた。
「これ! 最高自信作とまでは言わないけど、結構良い物が出来たわよ!」
「へぇ、シンプルで白いワンピースね。でも、肩辺りやスカートのフリルが味がないと言わせない! と表現しているね」
「でしょ! そして、性能も見て!」
フリル付きのワンピース(白) レア度:C
耐久力:100/100
DEF+20
「おおっ、布なのに冒険者の服の2倍!」
「でしょ! それから、作ったんじゃなくて、NPCの露店で見つけたんだけど……」
「えっ! これは……」
スラウチ・ハット(白) レア度:C
耐久力:100/100
DEF+8
「お嬢様用の帽子だーーー!?」
「そうでしょ! この帽子があれば、このワンピースと合わせれば……」
「お、おおっ……」
この組み合わせ、テンションが上がる!! あの、お嬢様が被るような帽子に、このワンピースで…………
「おめでとう、これで貴女は本物のお嬢様だっ!!」
「わーーーーい!! わーーーーい!! わーーーー…………………………………………いつまでこのテンションを続ければいいのよ?」
「ここまで乗ってくるとは思ってなかった。止め時がわからなかったわ……」
よく考えれば、大通りの端といえ、周りには人が沢山歩いている。それを思い出したヨミは顔を赤くなってしまうが、さっさと精算することにした。
「ワンピースはお礼でも、帽子は別よね。いくら?」
「帽子もお礼でいいんだけど?」
「いえ、最初は服だけだったんだから、ちゃんと払うわ」
「ちゃんとしてんねんな……わかった、3000ゼニよ」
「思ったより安いわね?」
「この帽子を買う人がいないのか、割引されていたわ」
さっきのこともあり、資金には問題はなかった。
「確かに、3000ゼニね。はい」
「どうもです」
装備を受け取り、すぐ装備した。今のステータスは下記の通りだ。
ステータス
名称:ヨミ
レベル4→6
職業
メイン:魔物使い
サブ:剣士
HP:180/180→200/200
MP:290/290→350/350
ATK:35(+110)→45(+172)
DEF:32(+20)→42(+38)
INT:40(+100)→50
MDF:27→37
AGI:57→77
LUK:29→39
スキル(メイン)
『テイムLV2』(ドルマ)、『鑑定LV2』、『武具化LV2』、『防具化LV1』、『武技(アーツ)不可』、『魔法不可』、『空白×4』
スキル(サブ)
『空白×10』
スキルポイント:0
称号
『泥臭い戦闘者』
武器
右手:初期の剣 ATK+10
左手:ドルマ ATK+62
装備
頭:スラウチ・ハット DEF+8
身体:フリル付きのワンピース(白) DEF+20
右腕:無し
左腕:無し
脚:冒険者の靴 DEF+10
アクセ1:無し
アクセ2:無し
見た目はお嬢様だけど…………うん、強くなっているわね。
「あら、帽子のつばが邪魔をしないのね」
「そりゃ、戦う為の装備でもあるんだから、邪魔をしたら意味がないでしょ?」
広いつばで上空が見にくくなるかなと思ったが、被った側はつばが消えたように見えており、視界の邪魔をすることはなかった。
「よい、買い物をさせて貰ったわ!」
「買ったのは帽子だけだがな。もし、いい布や糸が出たら持ってきてね! 持ち込みの分だけ安くするから、また作ってあげるわ」
「そうね、ありがとう」
しばらくなんでもない雑談をして、露店から離れた。装備を買ったのはいいが…………
「うーん、靴が合ってないよねぇ……」
ついでに、靴も変えようと思い、うろうろしてみる。そしたら、他のプレイヤーがナイフを売却しているのが見えて、モンスターがナイフを落としたのかと思い、プレイヤーが去った後に、武器を売っている露店の店主に話しかけた。
「さっき、ナイフを売っている人が見えたけど、この辺でナイフを落とすモンスターとかいた?」
「む、どこぞのお嬢様か?」
「いえ、これでも冒険者ですよ?」
「なんか、旅立ちを舐めているような服装だな……まぁいい、さっきの質問だったな? そんなモンスター、近辺にはいねぇよ。森、平原を越えた山にいるが途中に大きなモンスターがいるから行ける訳がないがな」
「あら、そうなの? だったら、さっきのナイフは……」
「ほれ、これがさっきのナイフだ」
ナイフを見せて貰うと、ヨミは納得した。見せて貰ったナイフは…………
初期のナイフ
耐久力:破壊不可
ATK+6
最初に貰えるナイフだった。このナイフよりも強い武器を手に入れたのなら、売ってもおかしくはないがーーーーーーヨミはそのナイフにピンときた。
「も、もしかして!! そのナイフと同じ物を買い取っていませんか!?」
「お、おう? いきなりどうしたんだ?」
「あるだけ、売って貰うことは出来ませんか!?」
「出来るが…………このナイフは弱いぞ?」
「いいです!!」
結果的に、82本を1本100ゼニという馬鹿げた格安で売ってくれたのだ。話を聞いてみると、このナイフのままでは売れないので、溶かしてインゴットにすることが出来る鍛冶屋に処分して貰うつもりだったらしい。
「もし、また初期のナイフが売られたら、取っといて! また買いにくるから!!」
「お、おう。買ってくれるならとっとくが、こんな弱いナイフを沢山買って、どうするんだ?」
「うん? ただ投げナイフにしようと思って」
そう、ヨミはこのナイフを投擲武器にしようとしているのだ。
「投げナイフなら、もっと投げやすく、強いのがあるのだが……」
「いえ! これがいいんです!!」
「そうか? お嬢ちゃんがそう言うなら詳しくは聞かないが」
「ありがとうございましたー!」
何故、初期のナイフを沢山買ったのかは、プレイヤーなら誰にもわかるように、耐久力が破壊不可で絶対に壊れることはない為だ。
ヨミはまさか、初期の装備を買えるとは思っていなかったので気付いたのはラッキーだった。これで、弾の心配は消えた。
あとは、『投擲』のスキルをスキル屋で買えばいいけど、まだスキルポイントがないんだよね。
スキルポイントはスキルレベルが5、10になる毎に貰えるのだ。だから、まずはスキルレベルをあげないと駄目なのだ。
「次は靴か~」
お嬢様風の服装に似合う靴を探し回ったが、最終的には…………
硬いブーツ(白) レア度:E
耐久力:100/100
DEF+13 AGI+5
もう少し可愛いのが良かったけど、実用的ではないので、これで妥協するのだった…………
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