第10話 称号獲得
称号『泥臭い戦闘者』を獲得したヨミは称号名を見て、納得顔を浮かべていた。
ゴルゴリアとの戦闘では、ほとんど木の実の攻撃を地面を転がりながら避けていたのだから、この称号を得たとしても納得は出来る。
称号名だけを見ると女性としてはうーんと思っちゃうけど、効果はまあまあ有能っぽいからいいかな?
手に入れた称号の効果は、次の通りだ。
『泥臭い戦闘者』
短時間内に何十回も地面を転がって攻撃を避け続けた者に贈られる称号。
地面を転がる際に受け身を取るのが上手くなり、スムーズに行うことが出来るようになる。
「ふーん、やってみればわかるかぁ」
試しに飛び出して前転の形をやってみたらーーー
「おおっ!?」
さっきよりもスムーズに受け身を取れた感じがして、すぐ立ち上がれる態勢を取ることが出来ていた。
もしかしたら、これも出来るんじゃない!?
思い当たった先から、すぐ試すヨミ。これからヨミがやろうとしていることは、飛び出した際に片手だけを地面に着けて、転がっている途中に持っていた剣を投擲。
「おおっ! これはアリじゃない!?」
『投擲』のスキルを持っていないから少し横へずれてはいるが、転がったまま投擲した剣がちゃんと刺さっているのを見て、アリだと判断した。これなら、避けながら攻撃することが出来る。
「問題は弾なんだよねぇ……」
命中率を上げるために必要な『投擲』はスキル屋で売っているからいいけど、投げる為の弾はどうするかはまだ決めてはいなかった。今みたいに耐久力の数値がない初期の剣を投げるのはいいが、弾がそれだけでは心許ない。
ナイフを買う? いや、石を投げてもいいけど、威力がね……
ナイフを数本買って、アイテムボックスから取り出して投げてもいいが、『投擲』のスキルがあってもなくても、投擲された弾は耐久力を結構減らしてしまう欠点がある。耐久力がない初期の剣だから、気にせずに投げまくっていたが、耐久力があるナイフのことになると、壊してしまったり、耐久力を回復して貰うにしても、経済的に厳しくなってしまう。
ヨミにしたら、普段の戦闘に使いたいから、消耗品にしてしまうナイフや威力があまりない石を使うのは勘弁したい。
「武器を増やすスキルはあったかな……? あとで調べてみるかぁ」
今は初期の剣だけで頑張るとして、そろそろ夜になりそうなので街へ戻ってギルドへ報告しに行く。
「はい、確認致しました。此方が報酬となります。次をお受けになりますか?」
「今はいいわ」
「わかりました、お疲れ様でした。ステータスカードをお返しします」
討伐した証明は、ステータスカードから確認できるらしい。ステータスカードを見ても、いつものステータスだけで討伐したモンスターの名前なんて何処にも書かれてはいない。どうやら、プレイヤーとギルドのNPCでは見方が違うようで、ステータスカードを見せるとあっさりと討伐の証明が出来た。
後から聞いた話だが、討伐系のクエストを受けた後にギルドのNPCにしか見えない受けたクエストと討伐数が表記されるようになるらしい。もし、クエストを受ける前にモンスターを倒してしまっても、カウントされることはない。採集系の場合は実物を見せるから、表記はされないが。
うーん、もう夜中2時かぁ。wikと掲示板を見たら寝よう。
「なんか、さっきまで寝ていたのに、眠気があるなぁ」
ログアウトして、ベッドから起き上がった美世だが、眠気が襲ってくるのを感じていた。さっきまで身体は寝ていたのに、ずっと起きていたような疲労感と眠気があり、不思議な気分だった。
まぁ、専門的な理由でとかとテレビで見たような気がするけど、いいや。パソコンパソコン~。
今、美世が調べたいことは2つ。称号とスキルのことで、β版で纏められた情報を見ていく。
「お、確認されている称号は50ぐらいはあるんだぁ。…………でも、取得方法と効果はあまり書いてないね」
誰でも有効な情報は広めずに秘匿したいのだろう。称号の名前だけ50ぐらいは並べられているが、取得方法と効果が載っているのは数える程度しかない。どれも有能とは言い難い効果で欲しいとは思えなかった。
「えーと、『泥臭い戦闘者』はないかぁ。ただ載っていないだけか、単に取得した人がいなかったのどちらかな」
有能だから、名前さえも載っていないか、ヨミがやったように短時間で何十回も転がった人はβ時代の頃では、誰もいなかったのか、後半の方が可能性が高いと思うが推測でしかない。
うーん、武器を増やすスキルはないか。まだ出てないだけで、何処かにある可能性はあるんだよねぇ…………
このゲームでスキルを取得する為の方法は4つある。1つ目、スキル屋でスキルポイントを使って、スキルオーブを買う。2つ目、何処かに隠されている宝箱からスキルオーブを見つける。3つ目、NPCからクエストを受け、報酬にスキルオーブを得る。4つ目、称号を獲得する同時にスキルも得ること。
これらは既にわかっている方法で、もしかしたら他に方法があるかもしれない。
調べたいことは終わったので、掲示板を覗いてみたが、まだ数は少なかった。
まだ初日だし、ゲームで遊ぶことに夢中で掲示板を建てた人が少ないってことかな? 気になるような内容はないから、もう寝よっ。
パソコンを閉じ、ベッドへ飛び込む。そして、ヨミの初日はこれで幕を引くのだったーーーーーー
ーーあとがき
今日はここまで!
次回は明日の朝7時に載せます。
朝7時に3話ずつ載せていく予定なので、宜しくお願いします!
『異世界へ召喚された暗殺者の少年』も読みに来てね!
https://kakuyomu.jp/works/16817330664443257238
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