第9話 図書館入れず



 しばらく、採集と護衛をしてマミは中学生なので、夜遅くまでは出来ないということで一先にログアウトした。仕事を辞めたヨミは夜更かしをしようが、衰えない肌に気にすることない。なので、続けて図書館で何か情報を得ようと考えていたのだが…………


「えっ! 図書館に入るには紹介状が必要!?」

「はい。すいませんが、一見お断りとなっており、入る為には紹介状が必要になります」

「ええー、誰から貰えるの?」

「貴女は冒険者ですよね。では、ギルドに行って沢山のクエストを受ければ、ギルドから紹介状を貰えます」

「ギルドかぁ。わかりました」


 ギルドは図書館の後に行こうと思ったので、順番が前後しても問題はないが、新しい情報が欲しかっただけに残念がっていた。







「うーん、ここがギルドかぁ」


 ヨミはこの街で一番大きな建物に寄っていた。そこがギルドで、図書館への紹介状を貰うために来たのだが…………


 受付嬢に話しかけてクエストを頂戴と言わないとダメかな? 掲示板はなさそうみたいだけど……


 普通なら、まずギルドカードを作ってからクエストを受けるのだが、このゲームにはそんな物はない。

 自分の証明したい場合はステータスカードと唱えれば、そのカードが出てくるので、証明物として使えるし、カードが二枚あっても仕方がないのことで、カードを作る必要がない。


 まぁ、とにかく話しかけてみればわかるかな。





「あら、可愛らしいお嬢様ですね。何か用で参りましたか?」

「えっと、クエストが欲しいのですが」

「!? はい、わかりました。貴女のレベルに合ったクエストを発注させて頂きます」


 驚きも一瞬でプロの受付嬢らしい笑顔でクエストを机の上に並べてくれた。受けられるクエストは、自分のプレイヤー連絡に、合わせて出してくれる。受けられるクエストは討伐系と採集系の2種類だったが、『採集』を持っていないので、討伐系の方へ眼を向ける。


「イノムシ討伐、レッドビー討伐かぁ」


 最初、目に入ったのはこの2件。このモンスターなら戦ったことがあるから受けてもいいかなと思ったけど、レベル5のヨミのには物足りないと感じていた。


 お、これは?


 さっきのクエストを退けて、次のを見ると……



推奨レベル5

ゴルゴリアを3体討伐

報酬→1500ゼニ



 ゴルゴリアは遠距離攻撃を持つゴリラのモンスター。硬い木の実を正確に投げてくるので、挑むなら盾持ちが望ましいと書いてあるが、ヨミは面白そうだと思い、これを受けることにした。

 某漫画の主人公と同じ名前が入っているがそれほどでもないだろと、ゴルゴリアがいる西のフィールドに向かったが…………








「マジでゴ○ゴだー!?」


 ヨミはまだ攻撃はされていない。なのに、何故ゴ○ゴだと言うのかはーーーーーーずばり、顔だ。

 男前に太い眉。何故か、画風までも全く同じ顔をしたゴリラがいたのだ。


「ゴガァァァ!!」

「っと、情報通りに木の実を投げてきたか」


 飛んで来る木の実は木を盾にして、ゴ○ゴのこと、ゴルゴリアを観察していた。木の実を拾っている様子はなく、手から突然に現れてくる木の実の姿かあった。



ゴルゴリア レベル7



 弾切れは期待出来なさそうだなぁ。近付いて来ないから、接近戦に弱そう。マッチョだけど。


 レベルは向こうの方が上だけど、ドルマと同時に攻撃すれば、なんとかなると判断した。推奨レベルが5なので、問題はないが、それは盾を持っていた時の話だ。

 盾を持っていないヨミはドルマと別れて、片方が攻撃を受け持ち、片方は攻撃をするやり方で打倒する方面だ。


「ドルマ、行きなさい!!」


 ドルマは真正面から行き、ヨミは木を盾にしつつ、回り込む。ドルマの被弾箇所の少なさを考えれば、ドルマが攻撃を受け持つのが良いのだが、挑発類のスキルを持っていないヨミとドルマは敵に標的を選ばせることは出来ない。何回かドルマに攻撃をしていたが、投擲では効果がないと知ったゴルゴリアはヨミへ標的を変えた。


 このまま、私は攻撃を避けることだけ考えればいい!!


 ヨミは飛んで来る弾をギリギリ避ける技術と動体視力は持ってない。今までゲームからの経験でだいたいの方向を予測して、木を盾にしたり地面を転がりながらも避けていく。泥臭いやり方だが、これが生存率が高いのは経験からわかっていた。カッコつけをする暇があったら、すぐ危険から離れることを優先するのに集中する。


「ドルマ、スキルをガンガンと使ってもいいわ!!」


 予測していた通り、ゴルゴリアは接近戦に弱く、足も遅かった。スピードがあるドルマはすぐゴルゴリアの懐へ入り、『パワースラッシュ』で腹を切り裂いた。

 怯んだゴルゴリアは投擲の動作が止まり、その隙を逃すヨミではなく……


「はぁっ!」


 手に持っていた初期の剣を投げて、背中へ突き刺さった。そして、また『パワースラッシュ』でゴルゴリアの首へ放たれてーーー先程よりキレのある音を立てたかと思ったら、HPが一気に減って0になった。


「流石! クリティカルに入ったのね!!」


 ドルマを誉めていたら、アナウンスが流れた。どうやら、ヨミとドルマのレベル、『鑑定』のレベルが上がったようだ。


「うん、『鑑定』のレベルも上がったかぁ。使ったから上がった? プレイヤーレベルが上がったから、その経験値がスキルにも入ったから? タイミング的にはプレイヤーレベルの方だと思うけど……ドルマはどう思う?」


 聞かれたドルマは困ったように刀身を震わせるだけだった。そんな気がしただけだから、合っているかはわからないが。


「まぁ、いいか。この調子で続けてゴルゴリアを狩ろう」


 同意するようにヨミの周りをフワフワと浮いて、先へ促す。ヨミとドルマはこの後もゴルゴリアをあと2体とは言わず、10体程狩っていた。ダメージを受けずに、自分よりレベルが高いモンスターを狩れるからだ。

 またレベルが上がり、次のゴルゴリアを捜そうとしていたらーーーーーー



 称号『泥臭い戦闘者』を獲得しました。



 どうやら、ヨミは初の称号を手にいれたようだーーーーーー

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