第4話 テイム
サビソド レベル6
このモンスターこそ、ヨミが探していたモンスターである。サビソドもアンデッド系のモンスターで、錆びた剣が生きているように動いている。
名前が単調なのは気になるけど……まず、HPを削らないとね!
「ふっ!」
扉を一気に開け、奇襲で斬りかかったが剣が本体であるサビソドはあっさりと刀身で受け止めてしまう。
「ッ、はぁ!!」
ダメージになる部分が刀身にはないのは知っているので、持ち手の所を狙っていく。だが、レベルは向こうの方が上に、AGIも負けているのを肌で感じていた。
この戦いはヨミに取っては大きな転機になると考えていた。このモンスターをテイム出来れば、格段に強くなると。
サビソドもこのまま受け身で終わることもなく、反撃をしてきた。モンスタースキルの『パワースラッシュ』がヨミを襲う。
「来た!」
ヨミはサビソドがスキルを使ってくるのを待っていた。モンスタースキルもアーツと同じように使ったあとは僅かな隙を見せるので、そこを狙っていた。ヨミは『パワースラッシュ』を真正面から剣で受け止め、サビソドのバランスを崩した。
「パワーで挑んでしまった時点で貴方の敗けが決まったのよッ!」
レベルが向こうの方が上でスキルの力を加えても、ヨミのATKを超えることは出来なかったから、サビソドの方が打ち負けてバランスを崩した訳だ。バランスを崩した瞬間に正確な突きでサビソドのHPを少し残して削りきった。
「『テイム』!!」
『!?』
ーーヨミはサビソドのテイムを成功しました。
アナウンスが聞こえ、一発でテイムに成功したことがわかった。一発で成功したのは運が良かったのだろう。何回か失敗すると考えていたので、すぐ成功したのは嬉しいことだ。
「よしっ! いいスタートになっているよね!?」
テイムに成功したサビソドはさっきと違い、大人しくヨミの側へ寄ってきた。そしたら、またアナウンスが聞こえ……………
「名前? そうね……」
サビソドの名前は『ドルマ』に決めた。ドルマのステータスを見ると、ATK、DEF、AGIが高かった。
ステータス
名称:ドルマ(サビソド) ランク1
レベル6
タイプ1:アンデッド系
タイプ2:物質系
HP:110/110
MP:50/50
ATK:62
DEF:57
INT:3
MDF:12
AGI:39
LCK:5
モンスタースキル
『パワースラッシュ』
これで試せるとヨミは考えていた。何故、このモンスターをテイムしようとしたのかは、これからやることで理解することになるだろう。思い出してみよう、ヨミはどんなスキルを取ったのか。
「出来る筈。『武具化』!」
『武具化』、様々なオブジェクトを対象にして、武器化することが出来る。それをたった今、テイムしたドルマを武器化するように発動しーーーーーー
「や、やった! 出来た!!」
ヨミの手には錆びた剣があった。重量も初期の剣よりも軽いと感じていることから、無事に『武具化』が成功したことを教えてくれた。
そう、ヨミは最初からテイムしたモンスターを武器に出来るか考えていた。何故、サビソドをテイムしたのかは他のモンスターだと武器化に成功しても使う側が使いにくいのでは戦いに活用出来ないと考えてのことだ。だから、最初から武器の形をしたモンスターをテイムすることにした訳だ。テイムしたモンスターはオブジェクト扱いにもなるようで、試みは成功した訳だ。
「問題の性能だけど、どうなんだろ…………ふぇっ!?」
武器化したドルマの詳細を見たら、吹き出した。
ドルマ ATK+62
耐久力:110/110
『パワースラッシュ』
つ、強すぎない!? スキルを使えるみたいだけど……、スキル有りの武器は先に進まないと手に入らないよね?
思ったより強い性能だったことに驚いたヨミ。ATKはそのままの数値で表れ、耐久力についてはHPが代わりになっているのがわかる。
「成長できる武器にするだけでも強いのに、数値がそのままで出るとは思わなかったなぁ」
ヨミはテイムしたモンスターのレベルを上げれば、その分だけ強くなれる武器が出来ると考えていたが、武器の強さがモンスター時のと変わらないとは思わなかった。てっきり、半分ぐらいまでは弱体化すると思っていたのだ。
β版では私みたいなやり方をした人がいなかったし、運営はテイムしたモンスターをオブジェクト扱いにすることが出来るのを知っていたが、武器化するとは考えなかったのかな? もし、そうなら修正が入っちゃうかな……え、メール?
考え事をしていたら、突然にメールが来て、それが運営からだった。2つの意味で驚いた。早速、修正の件かなと思って読んでみたが……
『ゲームを楽しんでおりますか? 早速ですが、今回の『武具化』の件ですが、修正はありません。最初から想定されていた事であり、バグではないのでテイムしたモンスターを武器化し、数値はそのまま反映されるのは問題ありません。
運営より』
「問題ないの!? いや、嬉しいことなんだけど……」
プレイヤーの間でパワーバランスが崩れてしまうんじゃないかと思ったが、もしかしたら、私みたいな別のやり方で格段に強くなれる方法がいくつか隠されているかもしれない。それなら、この対応にも納得は出来る。
これらは推測でしかないが、運営が認めているのだから、もう気にしないことにする。
「えっと、私のステータスは……って、ATKが200を超えちゃっているじゃない」
ステータス
名称:ヨミ
レベル1→4
職業
メイン:魔物使い
サブ:剣士
HP:120/120→180/180
MP:200/200→290/290
ATK:20(+110)→35(+172)
DEF:17(+20)→32
INT:25(+100)→40
MDF:12→27
AGI:27→57
LUK:14→29
スキル(メイン)
『テイムLV1』(ドルマ)、『鑑定LV1』、『武具化LV1』、『防具化LV1』、『武技(アーツ)不可』、『魔法不可』、『空白×4』
スキル(サブ)
『空白×10』
スキルポイント:0
称号
なし
武器
右手:初期の剣 ATK+10
左手:ドルマ ATK+62
装備
頭:無し
身体:冒険者の服 DEF+10
右腕:無し
左腕:無し
脚:冒険者の靴 DEF+10
アクセ1:無し
アクセ2:無し
「んー、しばらくはここでレベル上げかな。ふひっ、会ったら皆は驚くだろうなーー」
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