第3話 目的地へ
親友達と別れ、ヨミは最初から決めていた目的地へ向かっていた。
「わぁっ、ボロいねー」
ヨミが向かった先は、推奨レベル5の北フィールドにある大きな洋館だ。まだ昼だから、それ程の不気味さはないが、夜に寄りたくはないぐらいの雰囲気を放っていた。何故、推奨レベル5とされている北フィールドへ向かったのは、この洋館にいるモンスターをテイムしたいからだ。
確か、昼でも夜のと変わらないモンスターが出るんだよね。さっさとテイムして、スタートをしたいんだよねぇ。
普通なら、まだレベル1では洋館まで着くのは難しいがーーーーーー
「またイノムシ! よく出てくるなぁ」
イノムシ レベル4
洋館に着いたが、その前にイノムシと言う角が生えた緑色の虫が道を塞ぐように現れた。レベルは向こうの方が高いが、ヨミは慌てることもない。なにせ、洋館まで歩く途中で何回も遭遇しているのだから。
「ふっ!」
「ピギッ!?」
武器は初期の剣を使っているが、威力は初期のそれではない。その理由は『武技不可』にあり、アーツが使えなくなる代わりにATK+100が付くことで、初期だけだが高い攻撃力を持てる。長期的に見れば、スキルレベルがないから成長に期待は皆無だが、初期だけは他のプレイヤーよりは高い攻撃力で攻撃が出来る訳だ。
それに、イノムシは動きが遅く、糸を吐き出す攻撃を持っているが発動する前の予備動作があるため、油断をしなければ避けるのは難しくない。
「ピギュー!」
「遅い!」
吐き出された糸を避け、顔面へ剣を当ててHPを0にして光の粒になって消え去った。
「よし、またレベルアップ!」
ここに着くまで既に2つも上がり、今のでレベルは4になっていた。レベルが上の敵を倒してきたので、レベルが上がるのは早い。ステータスを見たが、魔物使いと剣士の組み合わせだとMPとAGIの上がりが高いようだ。
「ふひっ、この調子で目的のモンスターが出てくるといいなー」
洋館の扉に手を掛けると、あっさりと開いて中へ入れた。β版の情報では宝物はあるが、アルトの街の店で手に入るような物しかないのはわかっている。ポーションが手に入ればラッキーだなと思いつつ、周りを見回してみる。
「んー、先に一階を調べてみよ」
洋館は二階建てで広いとは言えないが、扉を開けると攻撃されてしまう事もあるので、扉をそぉっと開けて中を覗いてみると……
バット レベル3
「貴方じゃない」
コウモリのモンスターがいたが、目的のモンスターではないので、剣でハエを叩くように振り払う。
「ギャーギャー!」
「うっさいな!」
低レベルだからか、『超音波』を使ってくることもなく、2発目であっさりと倒れた。
「次の部屋はどうなんだろう」
他にモンスターがいないのを確認し終わってから、隣の部屋へ向かった。さっきと同じように扉を開き……
バット レベル4
ミイラ レベル4
「ハズレ」
今度はアンデッドの包帯男もいたが、ハズレなので剣を振るった。
「ギャッギ!?」
「はっ!」
先にバットをアーツ無しの2連撃で片付け、ミイラに剣を向ける。ミイラの動きは遅いが、HPは高めになっている。初期の剣で削るのは大変だが……
「私には関係ないよね」
100超えのATKはミイラのHPをガンガンと削っていく。
「これでトドメ!」
ヨミの得意技である突きでミイラの胸を貫き、クリティカルヒットでHPを0にした。
ヨミは前のゲームではレイピアを使っていたのもあり、突きが得意になって弱点へ突き刺すのが上手かった。
「…………む、汚れた包帯とか何に使うんだろう?」
ドロップアイテムがアイテムボックスの中に入ったが、汚れた包帯とか何に使うのか疑問だった。昔のゲームでは汚れた、汚い、臭いシリーズの素材が出ることもあるが、VRゲームでは素材として使おうとは思わないだろう。
そんなことはどうでもいいので、すぐ別の部屋へ向かった。
バット レベル3
「違う」
バット レベル5
バット レベル4
ミイラ レベル2
「数だけじゃ、私には勝てないわよ!」
ミイラ レベル4
ミイラ レベル3
ゾンビ レベル1
「臭い! ミイラより弱いゾンビが出てもねっ!」
ゾンビも違う。ヨミがテイムしたいモンスターはなかなか出て来ないようで、一階は探索し終わって、二階へ向かおうとしたらーーー
「あ、宝箱」
二階へ上がった先に宝箱が置いてあるのが見えた。初期のフィールドでは罠が仕掛けられていることはないので、安心して開けることが出来る。木で出来た宝箱なので、良いものは入っていないだろうなーと開けてみたら…………
「あ、ラッキー! ポーションだわ」
中に入っていたのは、赤い色のポーション。鑑定を使うと……
ポーション レア度:C
HPの10%を回復する。
レア度はS~Fまであり、レア度が高くなるごとに効果も高くなる。このポーションはCなので、普通に良いぐらいだが、初期のフィールドにある宝箱から出たと考えれば、ラッキーな方だろう。
「店売りのと同等だけど、タダで手に入るのは嬉しいわね」
タダ、ヨミの好きな言葉だ。タダで貰えるなら遠慮なく貰うタイプなのだ。落ちた物を拾ったり知り合いから貰うのはともかく、他人からタダで貰う時は警戒してしまうが。
思ったけど、このゲームもタダで貰ったんだよね。悪役を頑張らないとね!!
悪役を頼まれたからには、名が広がるぐらい有名になってみせようじゃないかと決意し、扉を開くとーーーーーー
サビソド レベル6
「見つけ~た」
ようやく目的のモンスターを見つけるのだったーーーーーー
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