奇妙な人達

ナマコ

埋める少年

リックは幼い頃両親を事故で亡くしてしまった。

親戚の家に預けられだが、あまりいい扱いを受けなかった。

それでもリックは立派な人間になることを誓い。

学校に上がると同時に勉強しながら働いた。

稼いだお金の半分は、家計の足しになればと親戚に渡し、もう半分は自分の為に残した。

しかし、親戚はリックの分のお金も催促するようになり、リックは一文なしになってしまった。

そこでリックは自分の分のお金を箱に入れ、庭の土に埋めて隠すようになった。

この作戦は成功し、なんとか貯金できるようになった。

だが、リックが成長し使う持ち物が増えてくると今度は親戚は物が邪魔、物が増えるといい、リックの持ち物を捨ててしまう。

リックはお金だけでなく自分の持ち物も、庭の土に埋めて保管するようになった。


リックはこの行為は苦ではなかった。

むしろ、自分の大事な持ち物が脅かされず、安心感すら感じいた。


月日が流れ、リックは親戚の家を離れ一人暮らしを始めた。

自分だけの空間を手に入れたリックではあったが、食器や服、日用品などを家の中に保管するのがどうにも落ち着かない。

結局。家の中でに家具は置かずに、すべての持ち物は庭の土に埋め、保管していた。


そんな生活をしているリックは、今まで一生懸命勉強してきたのにも関わらず、いい職に就くことができなかった。

職場の人間関係につまづき、低賃金の人と関わらない仕事しかできなかった。

食事は節約のため、一日一食の夕飯だけで、食べられる分だけ買いその日の内に食べるのが普通だった。


さすがにリックは今までの努力が無駄で、己の能力の無さに嘆き、ますます物を埋める癖が加速していった。


夜な夜なゴミ置き場でゴミを漁るようになり、気になった物を持ち帰り人目のつかない空き地に埋めるという奇行を繰り返した。

そうすると、何も自分を脅かされない子供の頃感じた安心感を味わうことができた。


そんなある日、親戚の一人が亡くなったという知らせを受け、形だけでも葬式に出席した。

葬式の最中。ふと親戚の庭の土に埋めた自分の持ち物を思い出した。

葬式が終わった後。夜、親戚の庭に忍び込んで、土を掘り返した。

そこには、懐かしい自分の持ち物が溢れかえっていた。

汗水流して稼いだ僅かなお金。

手垢がついたペン。

積み重なったノート。

思えばリックは今まで物を捨てたことがない。

自分の持ち物は大事に扱っていたはずなのに、どうして満たされていないのか疑問に思っていたが、リックはあることに気づいた。

貧乏でも才がなくても、幸せになれる方法はある。

それは、誰か愛する人がいてくれることだ。

リックは今まで孤独で一人で奮闘してきたが、全部自分のためだった。

誰かのためだなんて考えていなかった。


しかし、自分に足りないものがなんであったがわかっていたところで、人と関わること絶望を感じている自分にはどうすることもできない。


リックは懐かしい自分の持ち物達を抱え、いつも自分が埋めている空き地にたどり着いた。

そして穴を掘り、思い出の詰まった持ち物達を放り込んだ。

自身も穴の中に横たわり、拳銃をこめかみに当てたを















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