第2話 学舎へ

雲一つない澄み渡る青空の下、セリスとアリアは学校へと続く石畳の道を歩んでいた。二人は仲良く会話を交わし、その声は周囲の花々に囲まれた道を歩く人々の耳にも心地よく響き渡り、明るい陽気をさらに盛り上げていた。爽やかな春風が彼女たちの間を通り抜け、セリスの銀髪とアリアの金髪を優しく揺らし、時折、彼女たちの頬を撫でるように吹き抜けていった。


「アリア、今日の授業って、一体どんなことをするんだっけ?」

セリスは期待に胸を膨らませながら、息を弾ませて尋ねた。


アリアは思案げに右手の人差し指を頬にあて、天を仰ぎながら回答した。

「うーんと、午前中は基礎魔術の講義があって、午後には、その学習した魔術を使って実技があるんだよ。」


セリスは苦笑いを浮かべながら、自嘲気味に言った。

「えー、マジか...。魔術って、何と言ってもその空間的な概念が難しくて、幾何きか学的?な思考が要求されるから苦手なんだよね。魔術の呪文や陣形は、ただの平面上の図形ではなく、立体的、時には四次元以上の空間を想定して構築される。それに,私は家族からは魔術使いとして大きな期待を一身に受けていたけれど、子供の頃に空間の理解を誤って魔術の暴走を引き起こし、大失敗して以来、自信を完全に失くしてしまったんだ。その代わりに、この準聖剣の技巧には磨きをかけたけど、剣の技能と魔術の理論的な理解との間には、大きなギャップが存在しているんだ...。」


アリアはセリスの肩に優しく手を置き、温かな目をして励ましの言葉をかけた。

「誰だって最初はそうだよ。私だって魔術が下手だったし、自信なんてなかった。でもね、剣と同じように、魔術も練習と自信さえあれば、絶対に使いこなせるようになる。一緒に頑張ろう?」


セリスはアリアの優しい言葉に心から救われたように微笑んだ。

「ありがとう、アリア。でも君はすごく魔術が得意だし、自信もあるだろう?」


アリアは控えめに笑って、

「自信はあるかもしれないけど、私もまだ勉強中だよ。大事なのは失敗から学ぶこと。私たちは一緒に努力して成長していけばいいんだから。」


そんな時、アリアの目がセリスの手に留まる。剣の練習によってできた傷やマメが見受けられた。アリアは心から心配していたが、セリスはそれを誇りに思っているようだった。アリアは優しくセリスの手を取り、傷癒魔術

《セラフ》を施した。優しい光が彼女の手を包み込み、傷やマメが徐々に癒されていくのを二人はじっと見守っていた。


「相変わらず、視野が広いな」

セリスがにやけながら言うと、アリアは少し頬を膨らませて、

「セリスは女の子なんだから、少しは気にしなよ。折角の美人が台無しだよ」


実際、セリスはその銀灰色の美しいロングヘアが風になびくたび、まるで銀の瀑布のように輝いていた。彼女の装いは品格と自信を際立たせ、その美しさは周囲の注目を集めていた。アリアもまた、その金髪が夜景のように輝き、深いエメラルドグリーンのドレスは彼女の高貴な雰囲気を一層引き立てていた。


そんな二人の間で交わされる会話は、彼女たちの関係の深さを物語っていた。そして、いつの間にか学校の校門を潜り抜け、教室へと向かったのだった。


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