第18話 ヒルダ子分Aになる

悲壮な覚悟でセリーヌの居る屋敷に詫び入れに行くのだが、取り次いでもらえず

外で放置プレイ、6時間が過ぎた頃

真っ暗になり雨まで降り出したが

じっと耐えている


セリーヌが可哀想と言うのをよそに

裏領主のセレナは

「中々根性があるわね、朝まで放置しなさい」と命令を出す!


辺境での名家、コネクションや資金など

申し分ない!


恐怖で従わせようとしたのだが

私たちの目的を知ったら

心酔して協力者になるかしら


秘密を知られるわけだから

ダメならその時処分するしかない


「セリーヌ、貴方が完璧に面倒を見るなら

ヒルダを助けても良いわ、どうする?」


「嫌がらせにあったんだから

意趣返ししても何ら問題ないけど」


「都合よく勘違いしているので

セリーヌは私の影武者として

裏の顔のある悪女として私のフリをしなさい!」



「えええ!」

「そんなの無理ですよ!」


「善良な顔をしながら

血も涙もない指令をヒルダに出せば

丸く収まる!」


私の悪事を勝手に被ってくれるのは

非常に助かる!


大事な影武者なので無駄に消費させるつもりは

サラサラないが、


「さてヒルダを騙す準備でもしましょうか!」


セリーヌは思う

私はまだ同意も何もしてないのに・・


☆☆☆


ガチの幹部を集めた定例の報告会を

【円卓】と呼んでいる


円卓の騎士にちなんで


忠誠を誓い、近臣としてその席を置く騎士たち円卓の上でセレナに忠誠を誓った精鋭


違うのはcrown 【冠】

精鋭を騎士ではなくクラウンと呼んでいる


セレナをその場の主のトップ

【王冠】オウカンと呼んでいるのだが


セリーヌを王冠に見立て

セレナは白銀の鎧を着て顔を隠している


真面目な報告会をしつつヒルダを取り込み

騙すイタズラでもある


集まるクラウン達


【現役の領主】

【娘のマリーンドルフ】

【冒険者ギルドのマスター】

【辺境最強の騎士ギルフォード】

【伝説の英雄 白銀の騎士】

【民主の英雄 アーレン】

【救世主とまで言われる薬師のヨハン】

【辺境の最高位司祭】


そして【王冠のセリーヌ】


皆が席に着く中

ヒルダは直立不動で立たされている!


ヒルダは辺境の有力者達を見て

何だこの有力者達は、『裏の秘密結社?!』


そしてセリーヌ主導の【円卓】が始まる

セリーヌは特殊な個人スキル

【自己暗示】で想像上のセレナを

降ろしたトランス状態になっている!


資金と兵糧と武器と兵の数と

練度の報告、

【次の魔物の大氾濫に対抗するための会議】


想定を超える万単位の魔物が溢れた

場合による対策、


周辺の辺境のとの連携の有無

友好関係の状況や打ち合わせ


領主が報告する中、血も涙もない指令を

セリーヌは出す!


大氾濫の際、逃げ出そうとする貴族を捕まえて

財産と領地没収、市民権剥奪


それで復興資金の備えにする!


「無茶な!そんなことしたら

王都が黙ってない!」


【ガシャーン】


シーン


何が起きたと思ったら

ワインの入ったグラスが領主の顔に

叩きつけられて破片で傷ついたのか

血が滴っている


「辺境の法は王都ではなく私が決める!」


「どうせ王都は援軍の兵も出さず

資金や食糧援助すらする気がない!」


「王都に逃げようとする貴族から

奪って何が悪い!」


縮こまり言いなりになる領主、

血を拭いに来た娘のマリーンドルフが

視界に入り、セリーヌの更なる追撃


贅の尽くされた豪奢な扇で顔面を叩かれ

「舞踏会を盛り上げろとは言ったが

していることは何だ?!」


「痴女まがいの事をしろと言ったか?」

ああーん


額に額をつけてセリーヌは睨み付け

恐れ慄いたマリーンドルフは崩れ落ちている


ヒルダ以上にドン引きしているのは

セレナ

(私のイメージって酷過ぎない!)


セリーヌは今度はギルドのマスターに

無茶な指令を出す!


「氾濫が起きたら問答無用で

冒険者全てを徴用して戦わせろ!」


「全国のギルドのルールで戦争その他に

徴用強要して出してはいけないと!」


言い終わる前にギルフォードが剣を抜いて

ギルマスの喉に当てている


ギルフォードが

『セリーヌ様は辺境の法であり神だ!』


完全に逝っちゃってる狂信者の様な目である


最高司祭まで

【神に疑いを持つことは許されませんな】

ギルマスは恐怖に失神している


もうやめて!

セレナの精神ポイントはとっくにゼロよ!

自分は神だとかそこまで罰当たりではない!


「アーレン」


「はっ!有害な貴族の粛清はほぼ終わりました!」


ジロリとヒルダを見る

ヒルダは「ひっ」と小さく悲鳴を上げる


自分の身がどうなるか心配しだした頃


この場の神 セリーヌ様が

私の事を高く評価して誉め立てる!


「名家の出の美しき姫君

資金もあり実家のコネクションも幅広く

辺境貴族達の中では

社交界の作法を完璧に習得している」


【殺すには惜しい!】


「舞踏会の事は一任したいぐらいだ

それこそヒルダを見習う様に

私に歯向かえるぐらいの肌骨を示したやつだ!

真似できるやつは居るか?」


悔しそうに周りのクラウン達は押し黙る!


『私は新たな【冠】に招きたいと思う!』


ヒルダの肩に白銀の騎士が剣を置いている

選択をミスったら死ぬ!


「命の続く限り!当家の家紋に誓って」

当家を全て差し出すとの意味


「良かろう、コードネームは『シルフィード』

舞踏会のシルフ、諜報の密偵達の主だ」


そして円卓は閉会した!


帰り際に嫉妬した領主に

「お気に入りだか知らんがいい気になるなよ!」

イタズラで更に脅かされるヒルダ

周りは笑いを堪えている


☆☆☆


セリーヌがそっくりだ、とか

怪我をした領主からも褒め称えられ

周りからも雰囲気イメージ完璧とまで言われて

笑われていたが・・・


「私はあんななのか??」

風評被害がひどすぎる

セレナは真面目に思った!

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