第16話 下級貴族 アーレン・ブラフォード

下級貴族 アーレンは考え込んでいる


舞踏会とやらで楽しんだのだが

罠にハマったか?


あの好意を寄せてくれた美女も怪しいなあ

好意も演技だったのかなぁ


「次回も楽しみにしています!」とか

そりゃ好意を寄せられたら

男ならまた逢いに行くだろ!


招待状に喜んで参加したら

いつのまにか債務の罠


借金に縛られて

辺境都市の【治安維持】に駆り出されている

余計なことはしない主義なので

担当エリア内だけしっかり仕事をする


エリアから出た奴は知らん!

だが、それなりのポイントを稼がねば


「私を誰だと思っている!」

「スコーラン家に連なるものだぞ!」

「お前の所為で服が汚れた!」

貴族らしきものが平民の女性の首を締め上げて

文句を言っている


持ち上げて地面に叩きつける!


わざとぶつかって難癖か、

今までならそれがまかり通って居たのだが

今の領主は変わり者だ

平民や子供の人権を護っている


あれをぶちのめしたら面白い事になるんじゃ


正義感全開で市民を救出して

殴りかかってきた

貴族をぶちのめす!


「覚えておれタダでは済まんぞ!」

そして情けない悲鳴を出しながら

貴族は逃げていった!


相当あの貴族は嫌われて居たようで

隠れて見ていたり

悔しさに打ちひしがられながら

遠巻きに見て居た市民達から


「耐えかねていたんだありがとう!」


「ひどい怪我をしたのが何名もいて」

「病人や老人など怪我が原因で

亡くなった方もいる」


歓声や感謝の言葉が降り注ぐ!

良い事をしたヒーローは

こうでなくてはならない!


だが結果は1時間後に逆に捕縛されて

牢獄に入れられている!


領主様に期待したいが

あの方も貴族だしなあ


☆☆☆


セレナは新たな報告に喜んでいる!

コンラート家の貴族の残党が見つかったのか!

今まで私が赴任するまで散々

市民をいびって虐めていたらしい小物、


治安維持の衛兵にぶちのめされて

私はコンラート家の貴族だ!

治安維持の衛兵をクビにしろと騒いだらしい!

即時に貴族の方に捕縛命令!


さて面会して馬鹿にして死刑宣告を出すか!


馬車を手配して領主の屋敷を

出ようとしたところ

多くの市民が立ち塞がり道を塞ぐ!


以前なら迷う事なく蹴散らし追い払うのだが

猫を被った善良な領主の補佐

という形になっている


「悪逆非道の限りを尽くした

コンラート家の貴族から市民を救った

英雄が投獄されているので、

即時に釈放しろ!」


【釈放するまでここを動かない!】


無理やり英雄を作り祭り上げる

手間が省けそうだ!


存在しているだけで市民の味方のモニュメント

それを重用すれば私の名前も上がる!


「なんとした暴挙を!」


「安心してください!

私自らが出向き、即時に釈放を願いでます!」


☆☆☆


牢獄では悪役令嬢モードになり

威圧感たっぷりで下のものを見下す感じで

アーレンに取引を迫っている


「解放を条件に私の配下になれ」


「貴方が善人という保証がないし

私には得が無い!奴隷にされたらかなわん」


「願いを言ってみろ!」


アーレンは考えたのちに

「負債の借金の免除」

「役人並みの給金」

「舞踏会へのフリー参加の資格」

「家族や一族への優遇」

「勤務地を首都の外の村にしてほしい!」



「わかったが、勤務地は当分動かせない

1ヶ月は我慢するのだな戦略として

動かせない!」


あの通りは英雄にちなんで

「【アーレン通りに改名】された」

「近くの市場が市民にとって一番安全という

ブランドを作る」


「舞踏会は都合が良い、

上流市民の客寄せに使える

マナーやダンスの練習を義務とする!」


アーレンは露骨に恥ずかしくて嫌そうな

顔をする


「何故危険な外の勤務地を望む!」


「私は元々遊牧民の一族

戦で手柄を一族が立てたので此処の土地を

貰っている本来なら土地を売って

いつでもここを離れてもよかった」


「【チョウリョウ族】か、あの人馬一体の」


とんでもないものを拾った!

王都の騎馬の正規兵と

互角以上に戦えると言われる民族


牧草地や砂漠、荒地、山岳では

敵なしの一族か


セレナは最強の騎兵隊を手に入れる事になる!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る