~25~これは超気まずい! 編集済

ここは知らない暗闇。少し頭がくらっとしてるけど飛ばされたのが原因だろう。

ここがまず何かってことなんだけど、何かの中に窮屈に入れられているため変な体勢になっている。


がんばってもがいてみたのだが頭から滑ってしまった。

滑った勢いで目の前のドアが開いた。


目の前に見えたのは誰かの部屋だった。

後ろを見ると女性物の服がびっしり一緒に入っている。


誰かの部屋のクローゼットの内側に俺はいたらしい。

よりによってなんでこんな誰かの部屋のクローゼットなの?


ポセさんのことだから絶対わざとここにした気がする。

ポセさんはイタズラ好きらしく、家に勝手に入ってくることは普通。


どちらにしても周りを少し探索するか。

情報が足りなすぎる。



窓から外を見ると東京タワーが見え、下を見るとタワーマンションの一室のようだった。


今いる部屋にはさっきいたクローゼット、シングルベット。

可愛いぬいぐるみや昔使っていたであろう勉強机のような物。

そして目に入ったのは見覚えのある学校の卒業写真……?


「なんで俺の高校の卒業写真?」

この写真はたしか俺が行っていた高校の卒業写真。嶺や俺も映っている。

俺の知り合いなのは確定してしまった。


知り合いとはいえこんな高いタワーマンションに住めるってことは結構稼いでいるのだろう。


アニメグッツは有名作品のヒロインや乙女ゲームの主人公。

サイン入りの色紙も多数置いてあった。


その中には『アニメ出演お疲れ様でした!』と書かれた色紙もあった。

その色紙の名前には嶺宛に書かれていた。




ここってもしかしたら嶺の家なのでは? それだったら結構ヤバくね。



一旦ここから出よう、うん。(確定)

うん。(状況理解)


「うん。ここからどうすればいいん?」

嶺に会うためにはここにいたほうがいいけど、不法侵入とかで捕まったら洒落にならない。


さっさと出よう。



ドアノブに手をかけひねる。鍵をかけてあるようだがサッと開ける。

ガチャリとドアを開けた瞬間、みたことのある女子とバッタリ出会ってしまった。


黒髪が肩につくくらいまでかかってて、引き込むような琥珀みたいな目。

白い肌は美しく女神のようだった。

白いキャンディースリーブのシャツに黒いショート丈のスカート。金色の金具が付いたベルトがアクセントになっている。

黒い鍔のついたベレー帽で可愛さをプラスしている。



この目の前にいる女の子が嶺なんだと直感的にわかった。


だが、めっちゃ気まずい。

とても凝視されて頭を捻っている? 何がどうなって目の前で会ってしまうんだ。


「…………嶺なのか?」


「………………あなたは、光司くん?」

「? そうだけど……?」




更に嶺から睨まれ、手を触られたりいろんな角度から見つめられたりされている。

が、無口でやられているというのがとても怖い。


どういう意味があるの? なんでここまで検査されているの?



そんな時、嶺の顔がだんだんと緩んできた。

そろそろ終わったかと思ったが目元から大粒の涙が流れた。


「ゔぇ゛ぇ゛ん゛!!!!」

何かが吹っ切れたように泣き出した嶺。

何をすればいいんだ?! ハンカチを渡すのか?

え、こういう時どうするのが正解なの??


「いぎでる゛!! ごゔじがいぎでる゛!!!」

「本当に、どうしたの?え、あー。うん、ね?」


顔がぐしゃぐしゃに泣きじゃくって何を言っても意味がなさそうだった。

こういうのって神の力を使ってもいいよね。うん。大丈夫だと信じたい。


【感情看破】


これは神になって使えるようになった技というかスキル。

簡単に言うと格下の相手の感情を理解するスキルだ。



格上だと断片的なものしか分からない。

例えばクロウが殺気を出した時もなんか怒っている、怖がっている。

という所までしか分からなかったように感覚でしか理解できない。あんな感じ。


嶺は格下だったから全てわかった。




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「嘘ッ……」

俺が死んだ時にニュースで見たらしい。神冥 光司って名前も出てしまったらしい。

俺の事をいつも心配していたのに死んだから気が病んでいたようだ。


それで少しうつ状態になってしまった。

それでも声優は続けたんだけど、技術が落ちたためアンチが増えまくってしまう。


それで自殺寸前まだ追い込まれてしまったらしい。




======


ポセさんが言っていたアレって俺がいけないって事だったのか。

そりゃぁ言うのが気まずいわな。


光司は嶺を何も言わずに抱きしめた。

胸の中で泣きじゃくる嶺が落ち着くまでゆっくり頭を撫でる。




うん。ごめんよ、嶺。

死んだら心配するわな、ごめんな。


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読んでいただきありがとうございます。


面白ければ★★★、面白くなければ★。


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