~2~ポセさんといっしょ 編集済
「そういえば3人目は?」
「自分が1番わかるでしょ。あの子供っスよ。もう忘れたんっスか? ウケるっスわ」
うん……陽キャはヤバい。
この状況を楽しんでいる、俺が理解できてない状況で。
だって急に異世界行くか神様になるかでしょ? どっちも嫌だよ。
どちらにせよこれだから陽キャは……。
「何が陽キャは、っスか? 教えてくださいよ~。ね? 光司くん。」
……恐怖しかない。ドス黒い闇の片鱗が見えた気がした。
一生分の恐怖を味わった。
轢かれたときの恐怖より恐怖。
SAN値がごーりごり削られた。
それよりも読心術されてる。
俺の心が読まれてる。
コメントで【光司:陽キャってこんなもことできるんだ(白目)】って今からでも打ちたい。
今度からこの人たちの前で変なことを心で思うことを気をつけようと思う俺だった。
「で、光司くん異世界転生するか神になって世界を創りたいのかどっちなんっスか」
忘れていた、目の前の現実に。
う~ん。
異世界転生はそこまで魅力を感じない。だって死ぬ可能性も大いにあるわけでしょ?
でも世界を創るのってどんな感じだろう。
「光司くんが死ぬ前にやりたがってたシミュレーションゲームに近いスよ」
ん? なんだって。
読心術をされたことより気になる。
シミュレーションゲームに近いって魅力しか感じない。
「しかもあの新作とほぼ操作感は同じようにチューニング済み、今ならこの世にあるシミュレーションゲーム全てやらせてあげるっス、」
「俺は、神様になってみたいです!」
俺はそんなことを聞いて考える暇もなく即答する。
この世のシミュレーションゲームってことはレア物も何でもできるんでしょ?
体験版みたいにできる回数が限られてないし。
「そうっスか。じゃあまずこれを預けるっス」
そう言うと小さな鍵を渡してきた。装飾もしっかり凝っており洗練されたデザインだと思う。
こんなに小さい鍵を渡してどうするの? 家でもくれるの?
「あらがち間違いではないっス。それは自分の世界、簡単に言うと神様専用の部屋に行ける鍵っス。なくしたら多分大変な説教が待っているっス。気をつけてくださいね?」
説教か。誰が説教するんだろう。
まぁ、無くさないようにするしかないな。
こんなのお高そうだし。数万円くらいはしそう。
「というかどこにその世界? があるんですか?」
「どこからでもっスよ。さっきゼウス兄さんが行った時に使ってたじゃないっスか。あんな感じっス」
あー、ゼウスさんが使ったみたいにどこからでも帰れるのか。
楽すぎないか? あと地味にどこからでもっていうのがワクワクする。
「行きたいって思えば行けるっスよ。あとネックレスみたいにするのが今の流行りっス」
ドアを出すのをやってみたい。行きたいって思うんだよな。
ん~……。
行きたい。行ってみたい。
自分の
目の前にドアがフッと出てきた。
ドアは見覚えのあるドア。家の玄関のドアだよな?
こう見るとすごい技術だな。
「開けてみるっス」
そんなことをポセさんに言われる、これを開けるのか。
……なんとなく少し怖いからゆっくりと開ける。
そして目の前に見えたのは自分の部屋だった。
似てい過ぎて目を擦った。
玄関があってそのまま自分の部屋に繋がっている。
俺の家を切り貼りして作ったような少しいびつな形。
何度目を擦っても自分の部屋。
足を踏み入れてもやっぱり自分の家だ。
そんな時無機物な声が部屋に響く。
「こんにちは、マスター」
「うおぅ! だだ、だ誰?」
「私は【D1型自立支援装置=ARISU】、アリスとでも言って下さい。机の上に浮いた球体が本体ですので落とさないように注意してください。よろしくお願いします」
無機物とは言ったが流暢に話している。
まるであのアレ〇サのようだ。
丸いフォルムもア〇クサのまんま。
それにデフォルメされた顔がついている。
普通にかわええな。
でも一応挨拶をしないと。
「こんにちは。俺は神冥 光司。今年で二十一歳です。よろしくお願いします」
と挨拶をする。営業スマイルがついでてしまう。
ちゃんと会社で働いてるからな、ニートではない。(念押し)
断じてニートではないぞ……!(大事なことなので二度言いました)
「マスター、私に敬語は必要不可です。マスターのメイドとでも思ってください」
俺にメイドがつくの? それはいいとしてメイド? メイドなのか?
だって丸い球型のメイドって聞いたことない。
まぁ言っても意味ないか。
「そうなんだ、じゃあそうさせてもらうけど……マスターっていうのがむず痒いな」
「仕方がありません。上下関係がメイドの基本ですので」
マスターってのは変えられないのね。というかメイドになりきってる。
可愛く見えてきた。
だが後ろからポセさんの温かい視線が少し痛い。
もうこの歳になると恥ずかしい。
この後の生活が思いやられる。
でもこの後の末来が気になって仕方ないのは俺だけだろうか。
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読んでいただきありがとうございます。
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