第2話 サイド 祝田和馬
<サイド
2022年2月1日
6年前の20歳の時に、従兄妹の
彼女から助けを求められた自分は、まだ総経大の大学2年生であったため、現状で直ちになんとかすることが難しかった。反対する自分の両親を押し切って、彼女たちを助け出すために、金銭的な裏付けが必要だったのだ。
当時、色々な証券会社が、超高速取引に興味を持っていた。利益が出るアルゴリズムに従って自動取引を行うもので、人間が判断し売買するよりも遙かに早いタイミングで取引が行えるために圧倒的に有利な取引ができると言われていた。
自分は、これに目をつけて超高速取引のためのアルゴリズムを開発し、証券会社に売り込むことにした。
このアルゴリズムの開発に取り組み、四苦八苦しながら形にして
いや、もうね。自分は結構優秀な人間だって思っていた訳よ。
ところが、
それでも、彼女は良い子だった。
自分を立てて、尊敬のまなざしで見てくれていた。その後も手を色々といれて
そんな実績を持っても、若い男女が同居するなんてと騒ぎ反対する伯母に、彼女らの両親の遺産を管理していた伯母がFXで全て
中学2年生で、手が掛からない
あれから6年。この半年ほどの
「うわー
まさか彼女がこんななるとは思いもしなかった。
自分は誓って彼女に何もしていない。男性恐怖症になっていないかと心配し、慎重に応対していたし、嫌われるようなことは何も言っていないはずだが、半年ほど前からこんな感じの態度になった。
5年の間、証券会社から毎月70万円を超える収入が安定して振り込まれ、20歳の時に立ち上げた自社の安定した売り上げとなり、そこから自分たちへの給与や使用料として支払いをして生活を支えてくれたが、その契約も切れて、超高速取引のアルゴリズムはそれぞれの証券会社が独自に開発するようになり、今では売り込むことが難しい物になった。
自分で運用しようと思っても、高性能サーバーを擁する証券会社の運用する超高速取引に安定して勝つことは難しいし、なにより運用する資金がない。5年の間、アップデートを繰り返していたし、今でも戦える能力を持つアルゴリズムだが、共同開発者の
この5年、システムエンジニアの仕事も並行して行っていたので、今では何でもありのシステム屋の経営者であり、SEでもありCEでもある。
今取り組んでいたのはWEBサイトのデザイン込みで引き受けざるを得なかった仕事だ。WEBデザイナーを別途雇うようにクライアントには無論、強く勧めた。
「いや~、お金もったいないし、良いよ、デザインまでやっちゃってよ。」
と、こんな具合だ。仕方なくポチポチとデザインしているときにやってきたのが
「この調子だと、あと100回くらいリテイクですね。お疲れ様です。そんなに仕事が好きなんですか?」
と煽ってくるのだ。
「なんなら手伝う?バイト代出すよ??」
「家族割りで半額にしますけど、それでも時給5万円ですねー。ざっこの
そうだった。こいつはまじで優秀なのだ。
大学に入学するなり、多くのスタートアップ企業のヘルプをこなして、時給10万円稼いでいるんだった。大学の勉強や政治の勉強が忙しく、仕事を厳選しているが、毎月10時間くらいは稼ぎに行き、そのほとんどを祖母に渡している。
あれ?自分働く必要ないのでは??なんて思ったりもするが、義理とはいえ娘の脛をかじりたくはない。
「
黙って仕事を続けていると、今日も煽られた和馬であった。
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