第6話

 爆発を背に、青いカーネーションの旦那は店の裏口から飛び出した。

 瓦礫と花びらがそこかしこに飛散する。


「逃げたぞ! 追え!」


 爆炎の向こう側から人間たちの声が響く。あの黒服の人間たちだ。

 旦那は勝手知ったる路地裏を走るが、背後からの足音は離れる気配がない。

 それどころか足音は増えている。

 後ろから、左右から、響く足音は、これは誘導している。


 そう気づいたときには、旦那は追い込まれていた。

 開けた場所に出る。

 同時に突き付けられる銃口。

 その広場には、旦那だけではない。セタガヤの商店街に住むエイリアンたちが集められていた。

「おとなしく、中央に歩け」

 真後ろから体に触れる冷たい銃口。同時に、リーダー格の男の声が命令した。

 旦那は両手を上げ、抵抗することなく集められたエイリアンたちの中に入る。


 銃口はまっすぐエイリアンたちに向けられていた。

 エイリアンといえど、彼らはただの生物。その力は人間と変わりない。武器を向けられては抵抗もできない。


「聞け。エイリアンども」


 怯え震えるエイリアンたちの前に、リーダー格の男が立った。


「我々は人類会。この地球を再び人類安住の地を奪い返す革命家だ!

これから我々は、貴様らに鉛玉を贈ってやるつもりである」


 エイリアンたちは怯え、悲鳴を上げる。

「ちよちゃん……ちよちゃん……ごめんね……」

 旦那の隣にいるエイリアンは写真を握りしめ絶望に泣いていた。


「だが、我々も鬼ではない。ある条件を満たせば、貴様らの命を助け、このセタガヤでの自由を許してやろう」


 ざわ、とエイリアンたちはどよめく。


「その条件は」

 ざわめきを裂くように、リーダー格の声が響く。

「寄生型エイリアン『ドウナシ』を殺すことだ」

 まっすぐその指は旦那をさした。

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