第6航 初戦

『あ、あ、あ こんにちは、聞こえますか?ナギさん』

ネクタイから声がした。

「っは、はい凪です」

『緊急ですがよろしくお願いします。ミズさんから聞いていると思われますが今回は弓を支給します。あ、あと他にも音阻害用ヘッドフォンをお渡ししますね。敵がわかるように目隠しも支給するので…準備はいいですか。』

「はい…大丈夫です」

『ではいきます

許可、旧式弓、阻害用ヘッドフォン、敵認識用目隠し支給』


途端に言われていたものが支給され、身につけられる。

目隠しを見れば敵と表示されていたものが見えた。

弓を扱ったこともないのに、自然と弓を弾く。

弓矢も既に設置済みで、いつでも放たれる。

躊躇なく指定された敵を倒して行った。

『次、A-2。次…A-5。最後の敵です。A-9。』

何も考えず弓だけに集中していくと、どういうことかわからないが体が勝手に動いていった。

最後の敵ーーーA-9と名付けられた敵に弓矢を一瞬で命中させた。

『第3部隊、ナギ 目標の敵をクリア。繰り返します、第3部隊、ナギ 目標の敵をクリア。』

やり終えた後の、まるで一つのゲームをクリアしたような圧倒的集中力と開放感と、そして興奮が今心身に染み渡る。

「すごいよナギ!!初めてでも私、こんなに上手じゃなかったよ!」

隣を見ればキラキラした瞳をもっと輝かせて言うミズがいた。

抱え持っている鎌のような武器には灰のような煙があたりに漂っている。

「え、そかな…ありがとう」

「えへへぇまったく海女王様は優秀な人を買ったなぁ」

そう平然というミズにまだ慣れずに、敵がさっきまで攻撃していた場所を見つめる。

完全に逃げられており、砂浜にいるのは後片付けをしていたアクアとパーニーだった。

海の上で戦うのもなかなか困難だったが、さっき思った確かなやりがいを感じる。

それにしても、どうしてあんな風に、まるでロボットのように淡々と私はしていたのだろう。

自然と弓を使いこなせていた自分に、ついさっきまで覚えたやりがいが消え、新たな恐怖を感じる。

これももしかして、「海女王様」のせいだったりするのだろうか。

謎がありつつも、私は片付けが終わったアクアとパーニー、そしてミズと共に孤城へ帰って行った。

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