第5航 決意が足りない
「私はパーニー。ドラキュラなんだけ…」
緑の髪の彼女がそう告げようとした時、突如ミズやアクアが着用しているネクタイが震えだす。
『攻撃です、攻撃です。場所はベル=メアー方面です』
三人の顔が一気に引き締まり、アクアと緑の髪の彼女…パーニーがどこかへと出かけていってしまった。
ミズがこちらを振り返り、「ごめん、早速なんだけど」とセーラー服を手渡せられた。
「これすぐ着替えられる?迷惑かけてごめん…初戦になるかも。」
そう突如言われ、流石の私も戸惑ってしまう。
「えっ、あ、うん。着替えて、見る」
「ありがとう…!」
そうにこっとひまわりのように笑うミズをみるとなんだか安心できた。
※
着替え終わり、「ベル=メアー」海方面出口へと向かう。
「軽く戦闘用武器について説明するね」
出口へと走りながらついていくも、ミズは私より圧倒的に早く、着いていくのが精一杯である。
「わ、わかった」
「ネクタイが小型通信機器になってるから、そこから指令が出たら勝手に武器が出てくるの。ただ、まだナギは
「うん、あ、ありがとう」
武器。
その一言を聞くだけでやはり戦うんだという緊張感と恐怖感が押し上げてくる。
何を今更言っているのだろう。
やると決めたらやるのだ、当然だ。
なのにやっぱり覚悟だけでは最後の一歩が踏み出せず、ミズがこちらへと振り返る
「どうしたの」
「…怖い」
「えっ大丈夫だよ、弓だし後衛だし」
わがままを言った後で、思い出す「海女王様」のあの言葉。
「あなたは私の所有物なんだから、私から言われたことは絶対。いいね?」
そう言われたことを思い出す。
あの甘くも悍ましい口調を思い出す。
私は決意が足りなかったみたいだ。
「ごめん、大丈夫。行こう」
「ん、ありがと」
初戦、開幕だ。
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