第4航 第3部隊

「ここが第3部隊だよー、私と一緒だね!!」

「そうなの?ていうか、ミズもここで働いてるんだね」

「ん、まね!ボランティアかな?」

「そうなんだ」


重たい木のドアを第3部隊専用と名乗っていた執事さんに開けてもらう。

「やっほーう」

軽快にミズが入っていく。

「やっほーう、じゃない!お前今日は9時にくるって言ってただろ!第3部隊舐めてんのか!ただでさえ人少ないんだぞ!第1部隊を見習えよ!!」

「まあまあまあ。私はボランティアだからね〜」

「やるとやったらやれよ!中途半端で終わらせんな!!」

「そんなことよりアクア。お客さんがいらしてるようですよう。」

「えっ」

まるですごく仲良しなクラスメイトたちが喋っているような光景に、あんな衝撃な出来ことがあったから、なおさら少し笑ってしまった。

ここが第3部隊。きっと、ここに所属するのを拒めば日常つまらない日々にもどってしまうから私はリスクを背負ってでも非日常体験をしてみたくて、覚悟を決める。

「ああ…こんにちは。俺はアクア。」

そう告げ、こちらを見つめる。

朱色のネズミの耳と、ロングヘア。

サイドや下には髪飾りのいろいろなリボンをつけており、後ろにも青のリボンをつけていた。他にもどろどろした青の天使の輪がアクアの頭上に浮いてあったり、目も右は赤色の虎のような瞳、左は白の瞳だった。耳には蝶々結びの赤いリボンのピアスをしていた。最後に、ほおや左の目尻にはバーコードのような模様があった。

この人も、もしかして売られたのだろうか。

黒いベルトを首にしていて、ミズや私とお揃いだった。

「…やっぱあんたも俺を馬鹿にしてるだろ」

「えっ?」

「こんなよっつのリボンとか、蝶々結びのピアスとか、青い天使の輪とか…俺はいらないけど、ぜんっぜん取れないんだよ、これ」

「似合ってると思うよ…?」

「似合うとか似合わないとかじゃなくて俺はいらないんだよ!!」

そう怒られ、さっきミズとアクアの喧嘩を宥めた彼女がまたアクアを宥める。

「はいはいはい。でも天使の輪は命だしリボンは生まれた時からの呪いなんでしょ。」

「…そうだよ」

「なら誇りを持っていいじゃない」

「…おう…これからよろしく。確か、ナギ。」

「うん、よろしくね」

挨拶を返し、最後に緑の彼女を見つめた。


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