第1航 彼女との出会い
殴られた。
私はその瞬間、そう悟った。
その痛みより先に、恐怖より先に死ぬんだと確信する。
そりゃそうだ。
あんな怪しすぎる男性三人についていった私が悪いのである。
でもこれで、面白くない日々におさらばするならそれでも十分だと思った。
ただただ繰り返す毎日に生きたいなんて希望なかった。
友達、大丈夫かな。
そんな心配もよぎったけれど、やっぱりそれより先に、死ぬっていう確信と決意がこみ上げてくる。
静かに目を閉じると、まだ微かに男性三人の声が聞こえてきた。
「か…様、だ…はい、ど…」
「ど…うさっさと…」
「は…」
聞こえてきたのはそれぐらいで、私はそのまま沼に呑まれるように意識を失う。
来世は、もっとたくさんの面白いことが起きますように。
まだ私は、神様に頼み事をしてしまうようだ。
※
「ねぇ…ね…おきて…おきて」
そう言われた瞬間、すかさずぱちっと目を開ける。
ここはどこ…?無人島…?いや、人に起こされている時点で無人島ではないだろう。
頭が重い、けれど前よりずっと息がしやすかった。
「ん…」
「あ、おきたー!!!おはよう!!」
気がつけば私は、波打ち際に立っていた。
※
「へぇーそうなんだぁ。あ、はいこれ、
「あ、ありがとう…」
カップを受け取り、一口たじたじしながらも飲んでみる。
そこには口いっぱいに広がる炭酸と甘酸っぱいフルーツで、まるで海をみているような爽快な気分になり、心も少し落ち着く。
「一通り聞いたけど…まさかそんな世界があるなんて!!私も行ってみたいなあ…」
「日本とか、アメリカとか、そういう国名は聞いたことないの?」
「ううん、あんまり。おばあちゃんが持ってた昔の書物にはそんなことちょっと書いてあったけど、それだけ。ここは決められた海面積とここから出ていくのはよっぽど悪いことした時以外、行けないし行かないルールだから。」
「そうなんだ…」
「それより、その悪い人たち大丈夫なの?」
「…んー、多分大丈夫だと思う。」
「そっか、わかった、!そしたらそれより先に、どうやってここに来れたかだよね…」
「確かに、、、」
今まで聞いた話じゃ、ここは特殊で、出ていくことも
なのに自分は今ここにいる。
なぜなのだろうか…
「とりあえず、このことを上の人たちに報告しなきゃ、だね。」
そう言い、立ち上がる彼女。
連れて行ってもらった彼女の家を後にして、私と彼女とで並んで『上の人』がいる場所へ向かって歩いた。
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