女難の人生

入院

 異世界から戻ったオレを待っていたのは、まず治療。

 これで一週間の入院。

 傷口を縫って、抗生物質を注射して、ベッドで安静。


 ただ、オレの場合、糖尿があるので、傷の治りが遅いのだ。

 そのため、一週間の入院。


 医者は、特に何も言わなかったけど。

 たぶん、見えない所で「事件性ありますかね?」なんて話してるんじゃないか、とドキドキしている。


 病院ではミツバが付きっきりだった。


 リンゴを剝きながら、「病院に縁があるね」なんて言われた。

 入院している間は、不思議と不知火の姿はなかった。


 五日目くらいで絵馬が訪問してきた。

 罰が悪そうに口を尖らせ、椅子に座っていた。

 ミツバに何か言われたのかもしれない。


「謝らないから」


 とは言ったが、絵馬はリンゴを食べさせてくれた。

 言動と行動の不一致から、オレは何となく察する。


 絵馬は素直ではない

 加えて、他人に対してだけではなく、自分にも不器用な子なんだろう。


 来た時と同じ、黒い着物を着ていた絵馬。

 オレは、こいつのしょんぼりしている顔を見ると、途端に色々な事がどうでも良くなった。


「新しい服、買わないとな」

「……セーターがいい。あったかいし」

「うん。ズボンの方がいいか?」

「スカート」


 言葉を交わす者っていうのは、本当に面倒くさい。

 上手い事いかないし、変な事ばかり。


 絵馬を見ていると、妹がいれば、こんな感じなのかな、なんて思ってしまった。


 ともあれ、入院生活を再び送ったオレは、一週間後に退院。

 定期的に傷の具合を診るために、通院することになった。

 入院費は、ミツバが払ってくれたので、彼女には頭が上がらない。


 そして、家では新生活が待っていた。

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