第15話記憶

俺からしたら神様だと思われる存在に会った後、俺は光に飲み込まれた…。そしてその光の中で走馬灯のようなものを目にする。記憶の川と呼んでもいいのかも知れない。いくつもの記憶の川が足元に流れていて…触れる度に記憶が蘇っていく…。



「…ああ…俺がループする事を…あの子が…春が振り向いてくれるまでやり直す事を選んだんだったな…」




 始まりは…前世に遡る。前世の俺はゲーム開発に携わっていた。そこで…このゲームのヒロインでもある春のイラストにキャラにガチで惚れたんだ…。アニメのキャラやCGで描かれたキャラに本気で惹かれる人っているだろ?俺もその一人だった。


 もっといいゲームにしたい。春の魅力を十二分に惹き出せるゲームを作りたい。春との時間を楽しめるように…本気で恋してるように…そんな想いから…周りに止められらるのも聞かずに無理して、身体を壊して…そのままパソコンの前で俺は…息を引き取ったんだったな…。


 まあ、並々ならぬ俺のそんな想いをあの神様は汲んでくれたのかも知れない。俺はこのゲームの世界に転生させてもらったんだ。でも…それはヒロインの弟としてだった…。最初は…弟としか見れないって…言われたんだったっけ…。


 

「それで…絶望して…」




「やり直したい…ゲームと同じようにリセットしたい…そんな風に思いながら…俺はまた死んだんだったな…事故だったんだけど…」



 それから…春が好きということ以外何故か忘れた状態でまた最初から始まって…その運命の日が過ぎると…やり直して、やり直して…いつかは弟ではない存在に生まれたいと、なりたいと強く願ってたんだっけ…


   

「重いな…俺…」



 自分でもそう思うわ。まあ、それくらい春に惚れたんだ。本気の恋ってそんなもんだろ?俺を俺をって…一番に思って欲しくて……。



「春達には…そのせいで何度も辛い思いをさせてしまったな…」



 温かい光が教えてくれた。春と父さん、母さんは何度も何度も俺が死を繰り返しているうちに…記憶が何故か持ち越されるようになって…



「謝らないとな…」 






『聖夜っ!』



  

 記憶に触れていた俺にそんな声が聞こえた。




『お願いっ!聖夜!戻って来て!』




 声がするほうに視線を向けると…いつの間にか光の道が出来ていた。





『聖夜…お願い!話したい事がいっぱいあるのっ!!』






 うん。俺も…。だから…今から…戻るよ…。

 



 俺は光の道へと歩み始め……


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