最終話
(お願い、聖夜。目を覚ましてっ!!)
その声に導かれるかのように俺は目をゆっくりとあける。唇には柔らかい感触。視界には…大好きな春の顔が映り込んでくる。
そんな俺の様子に気がついた春が唇を離し口を開いた。
「聖夜!聖夜!分かる?私が分かるっ!?」
「…勿論…春の事を…分からないわけないよ」
「聖夜!聖夜っ!」
春が俺を抱きしめてくれる。病室には俺の知った顔が並んでいる。みんな心配してくれたんだな。みんなとの繋がりもあったからこそ…俺はちゃんと今に戻ってこれたのが分かる。まあ、車に轢かれて体に何の異常もなかったのはホント喜ばしい事だな。やっぱり俺が会ったあなたは…神様だったと改めて俺は思う。ありがとうございます、神様。俺の願いを叶えてくれて…。
♢
一応目が覚めた日は検査入院という事で病院で一夜を明かす事に…。病室には春と二人だけだ。
「改めて…心配かけてごめんな、姉さん」
「ううん。聖夜が戻ってきてくれただけで嬉しいよ♪」
「それとさぁ…」
「な~に?」
「こんな時に言うのはどうかと思うんだけど…言っておきたいんだ。俺は姉さんを姉さんと思えていない…」
「それは…」
「俺は姉さんを…春を一人の女性として見てる。それこそ…生まれる前から」
「…うん。知ってる」
「そっかぁ…やっぱり知ってるよな?」
「勿論♪私もね…聖夜の事が好きだよ。それこそ…何度も生まれる変わってもね」
「春…キスしたい」
「うん…私も」
俺は春とキスを交わす。
「…続きは家でだね?」
「うん?」
「キスだけじゃあないでしょ?私は聖夜とそういう事もしたいと思ってるんだからね?」
「えっ?えっ?」
「ふふっ…とにかく…聖夜…愛してるわ」
「俺も愛してる…春」
このゲーム世界に転生して…何度もループして…ようやく俺はガチ恋したヒロインの心を手に入れる事が出来た。こんなに幸せな事ってないよな?いつも傍には大好きな…愛してる女性がいて…めっちゃ幸せだ。
「あのね、聖夜」
「うん?どうしたんだ、結伊?」
「春さんと幸せなのは分かるけど…私にもちゃんとかまってよね?」
「いや…だけど…それは…」
「春さんからは許可を得てるもん!私だけじゃないよ?歩美ちゃんも美優ちゃんも庵先輩も許可を当然得ているんだから♪あっ、勿論心音ちゃんもだよ?」
「春ーーーーーっ!?」
何を許可してんのっ!?俺は春だけで…
「みんな…聖夜を愛しているし、聖夜以外見るわけないの分かってるよね?覚悟してね♡」
いやいや…俺はそれになんて答えればいいんだよ。一度ちゃんと断った筈なんだが!?
『聖夜』
この声…神様?
『これがホントに最後になると思う。緊急により連絡する事になった』
緊急って…
『その子達の想いはある意味お主と同じ感情じゃ…だから…その感情が叶わぬ時はお主と同じ事を起こすかも知れん』
同じ事って…ループ…って事ですか…?
『そうなればせっかく結ばれたこの世界も消えてしまうかも知れんぞ?心せよ?』
ちょっ!?まじでっ!?神様どうにかなんないですかっ!?
神様!?
お〜い!?神様ーーーーっ!?
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