第14話報せを聞いて

「聖夜はっ!?聖夜の様態はっ!?」


「あなた…」


「…お父さん」



 病室内にお父さんの声が響く。私とお母さんのように連絡を…報せを聞いてすぐに慌てて駆けつけたのが分かる。


「…大きな怪我はないみたいなんだけど…」


「そんな…打ちどころが悪かったと…?これじゃあ…また…」


「…大丈夫だと…思う…」


「…春?どうして…そんな事がっ…」


「分かるよ。だって…思い返してみて?」


「思い返す…? 一体何を…?」


「思い出したくないけど…今まではどうなってた?」


「それは…聖夜が……そうか…!」


「うん。今までは…聖夜が…そのまま…でも…今回は「「ループしてない…」」」



「だから…きっと…」


 お父さんが聖夜の手を握る…



 “ピカッ…”



「い、今っ!?」

「せ、聖夜が…」


「聖夜の体が光った…?お、お母さん!?」


「え、ええっ!」


 お母さんが聖夜の手を握るとまた聖夜の体が一瞬だけ光った。    


「お母さん、お父さん!聖夜を見ててっ!」


「お、おい、春っ!?」


「あなたはっ!?春が触れればっ!」



「それだけじゃあ足りない!」



 何故だか分かる…私はそう言いながら病室を飛び出し電話を掛けに向かう。掛ける相手は勿論…







「聖夜…お願い…目を覚まして…?」


 結伊ちゃんが聖夜の手を握りながらそう言葉を口にする。


「聖夜…目を覚ましなさいよ?まだ返事…聞いてないんだからね?」


 結伊ちゃんの次は歩美ちゃん…


「聖夜…目を覚ましてくれないと困るんだけど…?親友でしょ…?」


 輝昭君も…


「先輩…私…信じてますから…目を覚ましてくれるのを…」


 美優ちゃん…それから…


「聖夜…まだ…俺は恩を返せてないぞ?」


 啓祐君がそう言った。


「聖夜君…私も…信じてるからね?私…告白したばかりなんだよ?」


 庵ちゃん。


「ボクに…もう一度…声を聞かせて…欲しい…」


 そして…心音ちゃん。


「聖夜君…」


「早く目を覚ましてね?私達も待ってるから」


 結伊ちゃんの両親、歩美ちゃんの両親、そして輝昭君の両親がそれぞれ聖夜の手を握りながら言葉を、想いを口にする。聖夜から放たれる光がより輝きを増していく。光はどうやらお父さんとお母さん、そして私にしか見えてないみたい。そして…最後は…


「聖夜…みんな待ってるわよ?戻ってきなさい…戻ってこないと…」




 愛してあげないからね?



 私は聖夜に唇を重ねる。ホントならこれは逆なんだからね?お姫様を起こすのは王子様なのにね?私は私の想いとともに私に宿った不思議な力を聖夜へと吹き込む…。 






 



『ここは…?』



 ──まだループするつもりかい?



『…ループ…?』



 ──ああ…。憶えていないんだったね。記憶はボクにもどうにも出来ないからこう聴いた方がいいかな?君が望んだものはすぐそこまできているよ?



『…望んだもの…』



 ──そう。君が望んだんだ。この世界への転生と可愛春との関係を…まあ、弟にしか入れ込めなかったのはボクの力不足だけど…



『…もしかして…神様?』



 ──残念。ボクが神様なら最初から君を可愛春の彼氏として転生させてあげられだろうけどね…



『それは…そうなのか?でも…』



 ──ふふっ…さあ、お喋りはここまでかな。とにかく…君が望んだものがそこにあるんだ。聴こえるだろう?視えるだろう?迎えが来てるよ?




『…迎え?』



「──ゃ」



『…声?』


「──聖夜っ!」



『春の声っ!?』




 ──もうループしなくても大丈夫だよ…



『…ありがとう。神様』




 ──だから…ボクは神様では…



『この世界に転生させてくれたんだろ?なら…俺にとってはやっぱり神様だよ』




 ──そっかぁ…まあ、とにかく…ループが終われば全て思い出すと思う。君はもう弟としてではなく…一人の男性として見てもらえてるよ…



『…ありがとう』










 ──行ったみたいだね。こちらこそ…ありがとうだよ。なにしろ…君がこのゲームを作ったんだから…ボクからしたら…君が…




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