第13話運命の日

「母さん」


「ど、どうかしたのっ!?」


「ご飯とか用意してもらって悪いんだけど…なんかさぁ…調子が悪いからちょっとしたもの食べて横になろうかなと思ってる」


「「「…そ、そうなのっ!?」」」


 どうしたんだろう…。三人とも驚いているようなそんな表情をしている…。


「そ、それがいいわっ!学校には春から連絡してもらっておくからゆっくり休んでおきなさい!」


「そ、そうだな!母さんの言う通りだ。無理しない方がいい。今日だけはゆっくり部屋で休んでいいじゃないか!」


「そ、そうだね。学校には私が言っておくから…ゆっくり休んでて?」


「あっ…えっ…と…うん…宜しくね、姉さん。母さんも父さんもありがとうね」


「気にしないで」



 まあ、食べれるだけ食べて薬でも飲んでゆっくり休んでおけば治るだろう。俺はそう考えて食事等を済ませて、薬を飲んでから自室に戻ってベッドで休む事に…。






「ほ、本当に…」


「運命が…変わったのか?」


「わ、分からないけど…そう…信じたい…」


「…あの子の傍についていてあげたいけど…」


「…だな…そこは変えられないみたいだな…今までもそうだったしな。会社を休んでもいつの間にか会社に居たしな…」


「…正午さえ過ぎれば…あの子は…」


「…祈るしかあるまい…」


「この日に使えない力なんて…いらないのにっ…」


「…春」


「今回は家に居るんだし…大丈夫と信じよう…」


「そうね、あなた…」


「…ぁっ…そろそろ行って来るね」


「私も出るとしよう」


「…春、あなた…気をつけて…私もしばらくしたら会社に向かうから…」


「ああ」


「うん、お母さん…また…後で…」






「ううん…今…何時だ?」


 目が覚めた俺は上半身を起こし…時計を確認する。11時20分か…。薬を飲んで2時間以上寝ていたおかげか…体は不思議と調子がいいみたいだ。


 俺は起き上がるとリビングへ。当然今日は父さんも母さんも仕事。春は学校で俺は一人。一人でこうして家に居ると静かすぎて寂しく感じてしまうな…。調子が悪かったからそんな風に特に思うのかもな…。



 ふと食卓のテーブルに視線を向けると、布に包まれた弁当が置いてあるのに気がついた。一つは俺の分、もう一つは春のだろう。時間は…11時29分か…。急いで準備して届けるとするか…。調子悪ければ届けるだけ届けて帰ってくればいいしな…。   

  


 何故だかその時そう思った。



 そして…家を出て…しばらく歩いたところで…



“キキキィィィィィっっっっ!!”




 甲高いそんな音と…ドン!と、いう衝撃とともに俺は吹き飛んで…痛みが体中に響きわたっていくかのように走り回り…やがて…俺の意識は…なくなっていったんだ…。





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