第16話あるゲームの開発者の話

「本当に…なんだったんでしょうね…アレは…」


「さて…な…。まあ、世の中は不思議な事にも謎にも満ちているしな」


「…先輩…どこの詩人ですか?」


「失敬な!結構格好いいこと言ったよ、俺!?」


「言ったのが先輩ではなかったら格好良かったとは思いますが…」


「おまっ!?何でも言っていいわけじゃあないからなっ?」


「とにかく不思議に思いませんでした?」


「それは…確かにな…。いくらデータを直しても…直しても…その通りにはキャラが動かないしな」


「ですよね!本当に自我があるみたいに…何も受け付けなくて…」


「そうそう…」


「―で、どうしようもないからそのまま出した所、奇跡みたいに売れてくれて…」


「今では糞ゲーに扱われてるけどな…。元から糞ゲーとも俺は思うが…」


「何でです!?本物みたいで何気に良かったですよ、僕は」


「必ずフラレるゲームのどこがいいんだよ」


「そこがまたいいんじゃないですか」


「お前だけだよ…そんな事言う変わり者は…」


「何気に先輩も失礼なんですけどっ!?」


「ちょうど…そのゲームの話になったから教えてやるけどよぉ」


「まだ何かあるんですか?」


「…ある」


「どんな事です?」


「…前作のゲームも同じ様な感じになってるんだよ」


「? 言ってる事が分かりませんけど?」


「だからな…会社にある前作のゲームデータがあるだろ?」


「はい」


「ここだけの話…それも必ずフラレる様になってるんだよ…いつの間にか…主人公も変わってるしな」


「ほ、ホントですかっ、ソレっ!?」


「しかも…」


「ごくっ…しかも?」


「前作のそのゲームは…世の中全てから消え去った…様な感じなんだ…。どこにも売ってないしな」


「えっ…なら今発売したら売れるのでは?」


「…まだ続きがあって…」


「まだあるんですかっ!?」


「前作のゲームデータも全て…ゲームに関する全て事が消え去ったんだよ…」


「えっ…じゃあ…会社は…というよりも世の中も騒ぎになるんじゃ…」


「…それが不思議な事に…ゲームの事を覚えてる人が居ないんだよ…」


「マジですかっ!?でも…でも…うちらは覚えて

…………………………………………何の話してましたっけ?」


「…えっ…………ああ…今度の新作のゲームの話じゃあ…なかったっけっ?」


「ですよね…何か違う様な気がするのは俺だけですか?」


「??? さぁ…な?とにかく新作を考えよう」


「…ですね」

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