第7話俺と同じ?
声が聞こえた方に視線を向けてみたが誰が声を発したのかまでは分からなかった。生徒も一般の人も大勢居た為だ…。多分だけどヒロインがどうこう言ってたので俺と同じ様にこの世界に転生したのだろうと思う…。どのみちまた会う事になるだろうと思いながら…。
「どうかしたの聖夜?」
「何でもな…」
何でもない…と、答えようとした時、こちらに向かって2つの声が聞こえた。
「輝り~ん!!!」
「輝昭っち、見~つけた!」
「おはよう2人共。制服似合ってるし、とても可愛いよ」
「もう…輝りんたら」
「輝昭っち…朝からそんな風に言われたら照れゃうって~の!」
「…はっ!?」
朝から何の光景を俺は見せられているのだろうか?あれっ…またもやデジャブ!?両親の時も思ったが、今見せられている光景はその時の比ではない…。間抜けにも勝手に開いた口を何とか立て直しつつ、輝昭へと問い掛ける…。
「て、輝あ…き、その2人は?」
「僕の彼女だけど?」
「はあぁぁぁぁー!?おまっ…お前何してんの!?」
「な、何って何!?僕、聖夜に言ったよね!?」
「言ってねぇーよ!?」
「この間、ちゃんと電話で伝えたじゃん!2人彼女が出来たって!」
「はぁっ!?もういっちょっ、はあっ!?一人でも驚きなのに、二股って、何してくれてんの!?」
「ちょっ!?お、落ち着い…」
「これが落ち着いていられるかぁぁぁぁー!」
輝昭を掴み、力任せに揺さぶる!この主人公マジで何してんの!?この2人ってヒロインでも何でも無いだろうがっ!?しかもふたっ…二股って…一体どういう事!?どうなってるわけぇ!?
***
「聖夜がちゃんと聞いてなかっただけだからね?ちゃんと僕は親友の君には一番に伝えたんだから…」
「輝昭が…二股…二股…」
「輝昭…。 聖夜があっちの世界に行って帰って来ないんだけど?」
「よ、余程ショックだったのかな?」
な、なんとか現実に戻り、声を絞り出す。
「…歩美と結伊は知ってたのか?」
「アタシは輝昭の幼馴染みだから、聖夜の次に聞いたわよ?」
「私は歩美から聞いてたから…」
「…そうか…ショックだったな…歩美?」
俺には歩美の顔がどことなく寂しそうに見えたんだ…。
「はあっ!?な、何で!?何でアタシがショックなのよっ!?」
(あ~もう!コイツは本当にっ!?アタシが好きなのは…)
歩美の頭に手を添え…
「大丈夫だ…。なっ?」
俺は優しく歩美に言った…。
「ふぁっ!?なななななな、何がっ!?」
(ててててててててて、手がっ!?聖夜の手がアタっ…アタシの頭や髪を撫でて!?あうあう…こんなの…こんなのまともに聖夜の顔を見れる訳ないじゃない!!!)
本当に辛かったのだろう…。歩美はとうとううつむき、ぷるぷるその身を震わせてしまった。我慢の限界だったのだろう。うつむいたのは溢れる涙を隠しているのだと俺は悟った。せめて…俺だけは歩美の辛さを少しでも緩和してあげれる様にと思い優しく接する事にした…。
「結伊ちゃん?」
「…何かな、輝昭君?」
「アレって…また何か自分勝手に解釈してない?」
「…あ~…してるね…。されてる事は凄く羨ましいけど…」
「アレで付き合ってないんだよ?」
「…付き合ってたら私が困るよ!?」
「アレ…骨の髄迄…聖夜に侵されてるよね?」
「…私も後でしてもらうもん」
「2人共大変そうだね、輝りん?」
「ただのタラシかっ、あの男!?」
「聖夜…自分が好かれてると思ってないから…。歩美も結伊ちゃんも結構グイグイいってはいるんだろうけど…ちゃんと口に出して告白しないから…」
「「ぷふっ…ウケる…」」
「ちょっ!?ウケないでよね?こっちは大変なんだからね?それに…出来れば告白は聖夜…からが良いし…」
「その調子じゃあ、まだまだかかりそうだね…そっちは…。でも…取られても知らないよ?知っての通り聖夜を狙ってる子は多いよ?」
「うっ…それは…分かってはいるつもりだよ…」
***
歩美をあやしていたら時間がギリギリになってしまった。俺達は慌てて高校へと向かい校内に貼ってあるクラス表を確認。四人共同じクラスだった。輝昭の彼女達はクラスが違い残念がっていた…。
確認を終えた後は体育館前で両親達と合流。
「遅かったじゃないか?」
「何かあったのかと心配したのよ?」
「ごめんごめん、父さん、母さん」
「まあ、もう間も無くだし、取り敢えず席に座るか?」
「そうね…」
「了解…また後で…」
***
入学式はどこでも同じ様な感じだよな?校長先生の挨拶、それに生徒会長の挨拶。その他色々あって、それらが終わると生徒はクラスへと向かう。そして担任の先生の挨拶があって、クラスメイトの自己紹介。ちゃんと俺も普通に挨拶したよ。
─で、今日は解散となったわけなんだけど、帰る際に廊下である女生徒に声を掛けられたんだ…。
「そこの男子、ちょっと待って!」
何か嫌な予感しかしないんだけど…気のせいか?
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