第6話いよいよ…

 いよいよ今日から高校生活が始まる。確か…ゲームの始まりは高校生になって半年位立ってから始まるんだったよな…。それまでは何もイベントなんて起こらないよな?


 そんな事を思いながら自室からリビングへと向かう。そこには先に制服に着替えていた姉さんの姿。俺は新入生だから朝の9時迄に行けばいいけど、姉さんは二年だからいつも通りの登校だ…。



「よく似合ってるじゃん、聖夜」


「…姉さん。ありがとう」


 これが他人なら姉さんの制服姿もとてもよく似合ってるとか言えるだろうに…。姉弟じゃあ変に褒める事もままならないな…。


「今日から同じ高校だね?」


「…うん」


「今日は先に向かうけど…明日からは一緒に登校しようか?勿論結伊ちゃんも一緒にね」


「…了解」


 姉さんが近付いてきて…


「…もう…ほらっ、ネクタイ曲がってるよ?」


 ネクタイを直してくれるなんて、こんなのまるで…


「あんた達、何か長年寄り添った夫婦みたいね?」


 だよな!?母さん、俺もそう思っていた所だ…。姉さんの頬が少しだけ赤みを帯びている…。いや、気のせいだよな?そんな事あるわけないか…。

 俺の頬が赤くなってないといいけど…。


「俺と母さんみたいだな…。くっ…聖夜もとうとう高校生か…。青春を楽しめよ?父さんも高校生の頃、当時付き合ってた女の子と理科準備室で…」

「あらあら、あなた…入学式が終わったらその話を是非詳しく私に聞かせてくれるかしら?」


 せっかく気分が良かったのに何で父さんの恋愛事情を聞かされ、それに嫉妬してる母さんの姿を視界に入れないといけないのだろうか?


 それも入学式の朝っぱらからだぜ?俺達は何を見せられてるんだろうな?姉さんと2人揃って苦笑してしまう…。


「じゃあ、行ってきま~す!」


「「「行ってらっしゃい!」」」


 姉さんが行った後、しばらくして話は登校時の話に…。


「そういえば、聖夜は俺達と一緒に行くのか?」

「聖夜は結伊ちゃんと一緒よね?」

「ああ…結伊が一緒に行こうって行ってたけど…別に父さんと母さん達と一緒でも…」


「それは駄目だろ!?」

「それは駄目でしょ!?」


 2人してハモらなくても…


「…何でだよ?」


「…とにかく結伊ちゃんが来たら一緒に学校へ向かいなさいよ?」

「…そうだぞ?」

「…へいへい」


「全く…誰の血かしら?」

「お、俺の血筋じゃあないぞ…」

「はぁ~ 本命はいるのかしらね?」

「確か…結伊ちゃんに歩美ちゃんだっけ?」

「結伊ちゃんの話じゃあ、年下の子もいるみたいだけど?」

「はぁぁぁっ!?そんなの女の子を選り取り見取りじゃねぇかあ!?くぅぅぅー!俺もそんな青春時代を…」

「…あ・な・た?」

「…じょ、冗談だから…母さん…なっ?なっ?」


 2人してこそこそ話するのは止めて貰ってもいいかな?晴れの舞台を迎えた息子を放ったらかしにしないで欲しいんだが?


ピンポーン!


 我が家の玄関のチャイムが鳴る…。結伊か?よっこらせっ─と玄関に向かい扉を開けると、


「おはよう聖夜…」


 少しうつむき気味にモジモジしながらこちらの様子を伺う結伊の姿。入学式って事で緊張してるのか?確か本には女の子が新しい服装で現れた場合褒める様に書いてたっけ?

(※注 それは好意がある彼女に対してだけだと思われます…)


「似合ってるじゃん、高校の制服…。それにまた着けてくれてるのか、髪止め…。それもやっぱり結伊に似合ってるよ」


「ほ、本当に?」


「嘘なんて言うわけないだろ?」


「んっ…だねっ♪♫♬」


 結伊は満面の笑顔だ…。あの本の記事が役に立つとは…。


「聖夜君…朝から結伊とイチャイチャされても親としてはどういう反応をすればいいか分からないのだが!?」

「ふふふ…おはようね聖夜君?」


「おはようございます、おじさん、おばさん」


「イ、イチャイチャなんて、ししししし、してないからね、お父さん!?」


「…してただろうに」

「ふふっ…そっとしとかないと娘に嫌われますよ?」

「…そうだな…。聖夜君、ご両親は?」


「どうぞ入って下さい!俺達はそろそろ先に向かいますね?」


 玄関に用意していた鞄を手に取り結伊と一緒に学校へ向かう。


「「気を付けて2人共」」


「「は~い」」




***


 高校は家からそんなに遠くない。結伊と話しながら学校へ向かってる途中、輝昭と歩美の姿が…。どうやら俺達を待ってたらしい。


「おっは~!」

「…お、遅いわよ、2人共?」

「先に行ってなかったのか?」

「行こうと思ってたんだけど歩美がね。それよりもどう?僕の高校生姿は?」


「それを俺に聞くのかよ…。輝昭は馬子にも衣装。歩美は大人っぽく見えるな」


「僕だけ酷くない?」

「あっ…ありがとう…せ、聖夜も…にに、似合ってる…から」


「サンキューな歩美?」


「…んっ」


 四人揃ってそんな話をしていると、




 そんな声がどこからか聞こえてきたんだ…。















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