第5話主人公がやって来て
「聖夜、
「うん、分かった」
自室で漫画を読んでいると、姉さんからそう言われた。もうすぐ高校も始まるし今のうちに遊んでおこうとでも輝昭は思ったんだろうな。俺は輝昭達を自分の部屋へと招き入れる。
「いや~久し振りだよね?この部屋に来るのも…」
「一週間位前に来たばかりだろ?」
一週間前に遊びに来たくせによく言うよな?
「ちょっ!?ア、アタシも居るんだけど?」
赤髪のツインテールの美少女が慌てた様に自分も居るとアピールしてくる…。彼女は主人公輝昭の幼馴染み枠の
「…居るのは見たら分かるぞ?」
「だ、だったら…も、もっと嬉しそうにしなさいよね?」
「─だ、そうだぞ輝昭?」
「僕に言った訳じゃないと思うけどね?」
お前以外に誰に言うんだよ?
「聖夜に…い、言ったのよ!」
「俺っ!?」
俺に言ったのかよっ!?
「だから言ったのに…。歩美の機嫌損ねたら後が大変なんだからね?その時はちゃんと聖夜が責任取るんだよ?」
「何でだよ!?おかしくない?」
「おかしくない!!」
なんか理不尽じゃね?
「ほ、ほらっ!女の子が私服で…来たんだから…アレよアレ!─分かる…でしょ?」
「えっ…ああ!服の事か?よく似合ってて、可愛いけど…そんな事俺に言われても嬉しくないだろ?」
「…ほ、ホントに、似合ってる?」
「そんな事で嘘は言わんだろ…」
「っ……そっかあ…良かった♪」
そういう事は輝昭に言ってもらえよな?
「─で、2人共今日はどうしたんだ?」
「あ、アンタ…忘れてるの!?」
「聖夜忘れてるよね!?」
「…何を?」
「「今日はカラオケに行く約束だったよね?」」
やべっ…そういえば中学卒業した記念に歌でも歌いに行くかとか言ってたっけ…。俺は慌てて服を脱ぎ…
「あああ…アタシが居るのに…ぬ、脱ぐなぁ〜!」
アレっ!?デジャブ!?最近同じ様な事言われた気が…まあ、いいか…。俺は気にせず出掛ける準備に取り掛かる。
「…ぷっ…歩美は苦労しそうだね?」
「輝昭…後で憶えてなさいよ?」
「怖っ!?それ怖いからね?そんなに怖かったら聖夜に距離を置かれるかもよ?」
「っ!?…それは…ヤダ…」
「もう少し甘えてみたら?」
「…ん…頑張って…みる」
ホント仲良いな、2人共。何を話しているのか分からんけど…。
***
カラオケには四人で行く事に。姉さんも誘おうかとなったからだ…。
「最初は誰から歌う?」
「年の順でいいんじゃない?」
「聖夜…私が年寄りみたいに聞こえるから、その言い方は止めようね?」
「お姉さんから良いと思いますよ?」
「アタシも春さんから良いと思います!」
「ほらっ…姉さん?2人共、姉さんの歌声から聞きたいってさっ」
「…じゃあ…私から」
機械を操作し、各々順番に曲を入れていく。
~♪♪♪~~~♫♬♫
おっ…この曲は…
「すぅぅぅ…私の歌を聞けぇ~♪」
ノリノリだな、姉さん…。立ち上がり振り付け迄披露してくれている…。可愛い過ぎるだろ?ライト持ってたら俺は間違いなくオタ芸披露してる自信があるぞ。ホント…堪らない…。
─姉さんは曲が終わると少し照れくさそうにしながら…
「ど、どうだった?」
─と、聞いてくる。
「お姉さん流石です!」
「上手でした!」
「良かった!」
良かったなんてもんじゃない。最高の最上位だろ?いや、マジ天使の歌声かと思ったぞ俺は。本心から思う感想も碌に言えないとはな…
「次はアタシの番だ♪…ちゃ、ちゃんと聴いててよね、聖夜?」
「ん…ああ…」
俺の方を見てそんな事を言ってくる歩美。輝昭に面と向かって言うのが恥ずかしいのか?恥ずかしがって素っ気ない態度取ってると輝昭を取られちまうぞ?なんたってあいつは主人公なんだから…。
「…ねぇ…輝昭君」
「どうしたんです?」
「聖夜いつもあんな感じなの?」
「…ですね」
「…結伊ちゃんも歩美ちゃんも苦労しそうね?」
「分かります?」
「そりゃあ…ね」
くっ…輝昭が姉さんと何か親しげに話している…。嫉妬しそうなんだが!?一応言われた手前歩美の歌声に集中したいがあの2人の事が気になるし…。アレか?爽やかな顔してハーレムエンドでも狙ってるのか?姉さんをハーレムの中には加えさせんぞっ?
―って、俺にはどうする事も出来ないか…。
真面目な話…輝昭は…姉さんの事が好きなんだろうか?姉さんは元々ゲームのメインヒロインだしな…。親友が本気で姉さんに恋をしていたとしたら俺はどうすればいいんだろうな?
誰か教えてくれよ…。
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