第8話彼女は…
「この間、私を助けてくれたわよね?」
声を掛けて来たのは見覚えがある銀髪の美少女。
「…いえ、人違いです、では…」
「待ちなさい!あの時みたいには逃がさないわよ?」
「何の事かさっぱり…」
「っ…そう…あくまでもシラをきるつもりなのね?」
そりゃあ、恩を着せる為に人助けした訳じゃないしね…。
「また…ヤっちゃったんだろうね?」
何の事を言ってるんだ結伊は?
「またライバルが増える訳ぇ!?」
ライバルってなんのだよ、歩美?
「また無自覚なんだろーね?」
失礼だな、輝昭。無自覚も何もちゃんと自覚して助けたちゅーの!助けるのにそんなもん要らないだろう?
「はぁ〜 聖夜…ちゃんと言ったら?どうせ助けたのは聖夜なんでしょっ?」
「うっ…」
「どうなのよ聖夜?」
「…はぁ~ …助けたよ…。これでいいか?」
「ありがとうね、そこの2人共…」
「「いえ」」
「改めて…私は三年の
「一年の可愛聖夜です…。あの時は偶然怪しい人達が先輩の後を尾けているのを見掛けたからですよ。御礼は今受け取りましたので…」
「…そういう訳にはいかないわよ」
「じゃあ、先輩が無事だった…。こんな綺麗な人を助けられたんですよ?それだけで充分ですよ?」
俺がそう言って笑うと先輩はうつ向いてしまった…。しまった!?怒らせてしまったか?
「…堕ちたよね?」
「…堕ちたわね」
「人が完全に恋する瞬間を初めて見たよ…僕は…」
後ろで3人は何をブツブツ言ってるんだ?助け舟か何か出してくれないかな?
「とと、とにかく…今度…ちゃんと御礼をさせてよね?」
「…分かりました。先輩にお任せしますね」
「そうして♪」
御礼なんて本当に構わないのに。律儀な先輩だな…。まあ、のらりくらり躱せばいいよね?
「─なんて、思ってるだろうね」
「流石に聖夜が思ってる事が分かって来たよね?」
「ほん……―っとに聖夜は…」
先輩はもう一度御礼を伝えてその場を去って行った。さて、俺達も早く帰ろうぜ?
***
その日の夜…。父さんと母さんは用事で出掛けて居なかった。俺はリビングのソファーで寛いでいたんだ。
―ドタドタドタドタッ…
すると慌ててこちらに走ってくる足音が…。
「せせせせせせ、聖夜ぁぁ!?ででででで、出たっ!?助けてぇぇぇー!?」
リビングへと繋がるドアが勢いよく開き、入って来たのは一糸纏わぬ姉さん…。
はっ、裸ぁぁぁぁ~~~~~!?はぁっ!?
そしてそのままの勢いで抱きついて来たのだ。そしてギュッ─っとしがみついて離れない。
「ねねね、姉さん!はなっ…離れて!」
「あわわわっ!出た出た出た!出たんだってばっ!?見えたのよっ!!!」
「見えてるのは姉さんだからっ!?離れて…!色々マズいマズいから!!!」
風呂上がりのシャンプーや石鹸の香り。柔らかい肌と髪からは滴り落ちる水滴…。碌に体を拭かずに慌ててこちらへと走って来たんだろう…。
─ゴリゴリと俺の理性は削られていく…。
もう…私のライフはゼロよ?
「おおお、お願い…聖夜、─して欲しい…」
何て!?今姉さんは何て言った!?
「お願い聖夜…来て…」
「ふぁっ!?」
聞き間違いじゃあないのかっ!?
「おお、驚いてる場合じゃないのよ!Gよ!Gを退治して欲しいの!!!」
―知ってた…。知ってたさ…。勘違いしそうになるセリフなのは知ってたさ…。少し位夢見ても良いだろう?それ位は構わないだろう?
姉さんの頭をポンポンとして落ち着かせてからG退治へと向かった…。勿論一秒で効くあのスプレーを持って…。
***
「姉さん?終わったから…」
リビングの外から声をかける…。
「…あ、ありがとう聖夜」
「じゃあ…俺は二階に行ってるから…」
「う、うん」
俺はそう言って自室に向かった…。
姉さんは…家族なのに…今は血の繋がった姉弟なのに、俺はさっきも性的な気持ちで見てしまった。
「…春」
俺の恋が叶うことは絶対にないのに…。
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