第3章 タクト襲来
第12話 お約束のティナとのデート?です
次の日、俺とティナは街中を歩いていた。
「どこに行きます?」
「どこでもいいが、たまには映画もいいかもな」
「え、映画!?あ、アクトがそれでいいならいいけど」
「うん?」
もじもじしながら視線をそらされた。
久しぶりの街中、ここずっと任務が続きやっとできた暇の日に俺とティナは街中に遊びに来ていた。と言っても、ティナとの約束でここにきているのだが。
しかし、ティナの服装、今までに見たことない私服姿だ。
なんというか、女の子っぽいというか、うん。とても魅力的な女の子に見える。ティナも年頃だな。
それに比べて俺は、いつも通りの正装だ。
おしゃれすべきだったかもしれない。
「それじゃあ、映画館に行くか」
「そ、そうだね」
映画館に到着すると、ティナが「これが見たい!」と、言い出し選んだ映画のタイトルは「ウサギ族の儚い恋」。
タイトルを見るに恋愛ジャンルの映画だろうと、いざ座って鑑賞すると。
「うぅ…………うぅ…………」
「あ…………」
映画のクライマックスシーン。
隣でティナは涙を流していた。
そして、2時間ほどの映画が終わり、映画館を出ると周りの人たちもみんな涙を流していた。
「いい映画だったね」
「そ、そうだな」
正直、何が良くて何に泣けたのか全然わからなかった。
ウサギ族の舞台を題材にした恋愛。許されない恋をしてから始まり、そこから駆け巡る恋劇場からの急展開のお別れ。
いやいや、なんでそんな展開になった!?と、突っ込んでしまうほどだ。
これが、感性のずれというやつなのか。
「ねぇ、次はどこに行く?」
「そろそろいい時間だし、ご飯でも食べるか」
「ご飯…………なら私、行きたい場所があるんだ」
ティナが行きたい場所によって見ると「バラ」というお店に到着した。
どうやら最近、「バラ」というお店で”オムチャ”という料理が流行っているらしい。
なんか、聞いたことがあるような気がするが。
そのまま「バラ」というお店に入店し、”オムチャ”という料理を頼むと。
「すごい、中身は酸味のあるご飯、それに卵を閉じるなんて、今度、試そうかな」
「こ、これ」
どう見てもオムライスだよな。
酸味のあるご飯、これはどう見ても具なしのケッチャプライスだ。卵の閉じ方も庶民的で懐かしさを感じる。
「うん、うまい」
とても懐かしい味だ。
そういえば、昔、ティアがよくふるまってくれたっけ。あの時も具なしのケッチャプライスだったな。
懐かしい味をかみしめながら食べ続け、その向かいでティナは「ん~~~~おいひぃ~~~」と、ほほを手で押さえながらおいしく食べていた。
そんなティアを見て、俺はくすっと笑う。
「な、なんですか?恥ずかしい…………」
「いや、かわいいなって思ってさ」
「か、かわいい!?」
急に顔を赤らめて、ぼんっ!と、爆発した。
「べ、別にか、かわいくないよ…………」
パクっと大人しくオムチャを口に運んだ。
「顔が赤いぞ?大丈夫か?」
「大丈夫でしゅ!あ…………いてて、唇嚙んじゃった」
その様子に周りのお客さんが笑顔を浮かべた。
「お熱いねぇ」
「若いっていいわねぇ」
「よ、これぞ、青春!!」
なぜか、周りの人たちが盛り上がっていた。
「な、なんなんだ」
その状況についていけない俺は、ティナへと視線を移すと、顔だけでなく耳まで真っ赤だった。
熱でもあるのだろうかと心配になり「熱でもあるのか?」と、聞くと「だ、大丈夫」と視線をそらして答えた。
「全然大丈夫そうに見えないが、もし体調が悪かったら、帰っても」
「本当に、大丈夫だから!」
「そ、そうか」
お店内に響き渡る声で叫ぶティナに思わず腰が低くなる。
その様子に周りにはニヤニヤとしながら、笑っていた。
これ、早めにお店を出たほうがいいな。
□■□
食事を終えると、俺たちはすぐにお店を出た。
しばらく、顔と耳を真っ赤だったがいろいろな雑貨屋さんや服屋さんなどいろんな場所を回っているうちに自然と普通の会話に戻っていった。
「ねぇねぇ、これきれいだよ」
ティナが指さしたのは装飾されたブレスレットだった。飾られている宝石は偽物だが、キラキラと輝いていて、女性に人気が出そうなデザインになっている。
今の時代にもこういうのがあるのか。
ティアにも昔、少し高い指をプレゼントしたことがあるが、その時は顔を真っ赤にしながら、驚いていたっけ。あの時はマーリンと一緒に笑ったな。
よし、決めた。
「これ一つください」
「え!?」
「ほしいんだろ?なら、買ってやるよ」
「で、でも…………結構、お高いよ?」
金額を見ると、1万ラプ。俺の時代の金額に換算すると10万円ぐらいだ。
たしかに、高いが今の俺の給料なら余裕で払える金額だ。
「昔のころとは違ってお金あるし、それにティナにはたくさんお世話になっているからな。そのお返しだ」
「そ、そう…………ありがとう」
俺は、宝石で彩られたブレスレットを買ってティナに渡した。
ティナはすごく喜んでくれて、買ってすぐに右腕につけて、「どう?」と、聞いてきた。
「すごく似合ってる」
「えへへ…………」
嬉しそうに溶けた表情を浮かべるティナを見て、微笑ましく思った。
ここ最近、任務ばっかりだったし、いい息抜きにはなったかな。てか、シィーアとベアちゃんもつれてこればよかったかも。
それからも色々とお店を回っていき、最後にベアちゃんと一緒に訪れたことのある街中で一番高い展望台に訪れた。
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