たくさんの中の孤独

水都suito5656

たくさんのなかのこどく

あたしの彼はもてる。

でも顔は至って普通だと思う


今日はあたしのために誕生日パーティーをやってくれてる。


朝から頑張って美味しいケーキを焼いてくれた。

なんなら手編みの帽子も作ってくれたよ。

マフラーとお揃いでとても可愛い。



彼の周りには沢山の女の子がいる。

みんな私の大切なお友達です。


保育園からの付き合いの子もいる  長谷川さんです。

お話が好きな彼女とは気があった。  いつも二人でお話を作って遊んだ。


そんな彼女の話を彼も熱心に聞いてくれた。

進学か作家かで悩んでいる時、彼に相談して助けられたと後で聞かされた。


いえ別に嫉妬しているわけじゃない。

その証拠に彼女の恋人もその隣で楽しそうにしている。



その隣りにいるポニーテールの子は小学校からの友達 朋ちゃん

彼女は漫画が好きで同じクラブだった。


「わあ、さこちゃん絵上手だね」そう言って褒めてくれて嬉しかった。

でも彼のほうが絵は上手なのよね。 


サークル参加していると聞いてすぐ同じサークルに入ったらしい。

以降10年くらい同じサークル仲間としてコミケに出品してるんじゃないかな 

徹夜なんて大変だと言ってたし。


中学の友達は私に挨拶も忘れ彼に夢中だ まあちゃんは独り身だっけ



人と会話が苦手な私は、時間があればスマホで小説を書いている。

なんて楽なお仕事。地味な私にぴったりだ。


そんな私に気がつくと彼はごめんねと言ってケーキを取ってくれた 優しいよね


どんな問題でもなんとか道筋をつけて、恋愛だけじゃなく仕事も有能。

結果その周りに人が集まる。

人を惹きつける力が強い。

恋愛的な意味だけではなく みんなの為に良く働く。

みんなも好きになるのは当然よね


私は彼の好意を疑ったことはない。

でもいつも思う。


『自分がここにいなくても大丈夫なんだって』


忙しい彼

そんな彼のおこぼれでも嬉しい私


今日の誕生日パーティーは私が留学先からの一時帰国に合わせて開いてくれたもの。


一年振りの再開だけど彼は変わっていない  私も変わらなかった


男女関係なく彼に集まってゆく


私の交友関係は彼の下位互換。



ここから離れたい。そうすれば息ができると思える。

そうすれば嫌いにならずに済む。


本当は別れ話をするつもりだった。  

けど言えなかった。


だから笑顔をつくって留学先へ帰ろう。

留学先よりも感じる疎外感から逃げ出したいから


そして次こそ言うんだ


別れて下さいって

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