End of Day 1
寝ぼけ眼に、短くカットされた髪や整った顔立ちが映っている。
”……睫毛長くて羨ましい”
互いの顔が驚くほど近い。胸元まで覆う毛布の下では素肌同士が触れあい、二度寝を誘うほどに心地良かった。
考えてみれば、他人の体温を感じながら目醒める事自体が久方ぶりだ。
”にしても……”
僅かに視線をズラせば、簡易寝台の凹凸に入り込んだ赤黒い汚れ ――血痕――白衣で拭いきれなった銃撃の痕跡―― が点々と目につく。
”私……ヒトを殺したハズなのに……”
呵責や後悔といった心持ちには程遠く、悪夢も見ずに熟睡してしまった自分自身に驚き呆れる。
”この子のおかげになるのかしら?”
寝息を立てる姿は天使めいていて、昨晩見せた表情や行為とのギャップが凄い。自然と顔が火照るのを感じながら、声に出さず問いかけてみる。
「結局、君は
当然の如く返事は無いが、仄かに電球色の灯りが車内を照らしているのに気づいた。未だ、夜は明けていないのだろう。
”なるべく早朝に出発して、《シカゴ》から離れないと……”
理性がそう訴えるも、眠気混じりの感情は真逆のことを主張する。
私はソッと毛布を持ち上げ、二人の身体を隠すように被せ直した。
”……もう少しだけ……寝顔を眺めていよう……”
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