7章 - 04
幹部全員が城に籠ってから数日が経過した。
その分、法律の樹が死に近づいていると同時に、勇者が姿を現す可能性が上がっていく。
一瞬だが私を窮地に追い込んだ勇者。私を逃がそうとする余裕まであったハイネ。
それらと同等、もしくはそれ以上の人間と戦うことになると考えると、気持ちをいくら落ち着けても、すぐに気を取られてしまう。
私としたことが、最近はほとんどを部下に任せてしまっている。
「フォース様」
書物に目を通しているフリにしかなっていない私に、元側近のセブンが声をかける。
「そろそろ、様を付けるクセをなくしたらどうだ」
「そうは言われましても…、フォース様も未だに、ファーストリア様、ではないですか」
この反論をジョーク混じりではなく、困り顔で言うから変わった奴だ。
何も言い返せない私は、このやりとりをなかったことにする。
「それで、何用だ?」
セブンは、そのですね…と言った後、なんと言葉にしてよいかわからない様子だ。
「その様子だと、勇者襲来についてだな?」
「は、はい」
セブンは自分の不甲斐なさで申し訳なさそうにした。
その不安はわからなくもなかった。
城内やその周辺に残っている兵は大勢いるが、束になっても勇者達の力を少し消耗させる程度。
それに、正面から切り込んでくることもまず無いだろうから、ファーストリアは魔王様の近くに幹部全員を置いたのだ。
いわば私達は、攻め入った勇者達と戦うために今ここにいる。
勇者一行からハイネを引くと、ちょうど我々幹部と同じ8人になる。
戦力が拮抗しているとなると、一番弱い所から崩すのが定石。
そうなると、魔王軍の急所は自分だとセブンは考えていたのだろう。
潜入・奇襲・集団戦は得意だが、私の部隊は個々の力がそれほど強くない。
それに、他の幹部も各々得意分野があり、彼らはそこで戦うだろう。
法律の樹の決戦の時も、ファーストリアとサードナーは共に戦場へ出ただけで、手を貸し合ったわけではない。
せめて私とだけでも共闘したいといったところだろう。
それをセブンが申し出るのを待つか、自分から切り出すか悩んだ。
「こちらから潜入することは今まで何度もありましたが、潜入される側になることがなかったため、なんというか、どういう事態になるのか予測に苦戦しています」
セブンは躊躇いがちにそう言った。
「たしかにな、だいたいの戦力は把握しているが、一年前な上に、誰とぶつかるかは運次第だからな」
「はい。それに、勇者襲来はあくまで予測なので一部の者にしか話せない状況。何人か選りすぐって連携をとろうとしているのですが、状況次第では機能しないと考えています」
やれることはすべてやった上で私を訪ねてきたといったところか。
セブンは贔屓目な無しに優秀であるが、私に任務関連で進言することが苦手な一面があった。
その原因は、未だにわからないでいる。
この一件が終わったら、少し話を聞いてみるか。
そう考えた私は、今回は私からセブンとの共闘を提案してやることにした。
「そうだな、ハイネのような実力者ばかりになるだろうから、私でも苦戦を強いられる。だから…」
一時的にだが側近に戻れ。
そう続けようとした時、部屋の明かりが不意に消えた。
部屋を見渡すついでに窓から外をみると、城下の明かりも消えていて、夕暮れだけが輝いていた。
神経を研ぎ澄ませてみると、ここら一帯の魔力の流れが止まっている?
「おい」
私は、『異常事態だ。すぐに出るぞ』をその一言に集約する。
セブンはそれを受けて扉へ向かった。
次の瞬間、あたりが一瞬真っ暗になると、巨大な雷音と共にあたりは光に包まれた。
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