第3話 新しい家ぇえええええ!?
「……何か、人生で結構大事なことが介入することなく決まったな」
「……そうね。まさかこれほどまでに用意周到に準備されてたとは思いもしなかったわ」
俺達は荷物の詰まったキャリーケースを持ち、両家から数キロ程離れた場所に建てられた、俺達のらしい一軒家を前にそんな呟きしか出て来なかった。
しかし、俺が澪と許嫁になったと知らされてから、当事者達を置いて色々なことが決まっていったのだから、それもしょうがないだろう。
まず俺達が許嫁となった理由だが、俺達が生まれる前から男の子と女の子が生まれたら結婚させようと決めていた様だ。
更に仲が悪ければ諦めようとしていたらしいが、俺達がよく喧嘩はすれど仲自体悪くなかったために、この様な結果になってしまったらしい。
俺達が反論しようにも、本気で嫌なのか、と訊かれ、口を閉ざさざるを得なくなった。
確かに口が悪くてウザくて貧乳な澪だか、美少女だし俺が本当にヤバい時や体調が悪い時は心配もしてくれる。
それになんだかんだ言って偶に互いの家で遊んだり、何処かに遊びに行ったりもするので、一概に嫌だとも言えない。
ただ———恋愛感情があるか、と問われれば、間違いなく無いと言い切れる。
それは澪も同じだろう。
幾ら偶に遊ぶし幼馴染とは言え、俺達の関係は良くて親友、悪くてライバルや悪友の様な関係だ。
恋人になった俺達の姿なんて、想像すら出来ないししたこともない。
しかし、父さん達が言うには『愛情なんて後で勝手に着いてくる』だそうだ。
「何とも無責任なこと言いやがって……いや、まだ半年のお試し期間が設けられただけましか?」
「そうね。あの頭の固い前時代的な考えを持った人達に譲歩させただけで私達の勝ちよ」
だよな。
だって自分たちだけの都合で俺達の結婚を決めて、俺達の家まで買う様な親だもんな。
先程言った通り、俺達は半年のお試し期間を設けてもらった。
また半年後に、両家族と俺達で話し合って、本格的に許嫁となるのか、それとも辞めるのかを決めるのだ。
まぁなので———。
「———取り敢えず日当たりの良い広い部屋は俺のな!」
「ズルいわよ!? 私も広い部屋が———って、ちょっと待ちなさい!! ここは公平にじゃんけんを……」
「これで待つ奴が何処にいるんだよ! あ、早い者勝ちな? あとじゃんけんはお前が強すぎるから絶対やだ」
「く……ひ、卑怯者ーーッッ!!」
「ハハハハハハハハ!! 圧倒されてたお前が悪い!!」
———今は素直に、親に貰ったこの新たなマイホームを楽しむとしよう。
「———で、何か普通に家貰ったけど俺達これから2人で生活すんの!?」
「今更? これ見て違うと思うなら、直人は一度病院に行くことをオススメするわ」
「いや分かっとるわ! あくまで確認に決まってんだろ」
一通り家の構造を確認して一息付いた頃、やっと俺の感情が現実に追い付いた。
因みに、新居は普通に広かった。
二階建てで庭も付いているし、リビングは30帖くらいあるらしい。
更に必要な家具も生活用品も服以外は全て揃っていた。
てか俺、幼馴染とは言え異性と同棲するのか……色々と大丈夫か?
少し緊張するけど……まぁ相手が他の美少女だったら理性が保たんかもしれないが、澪だし大丈夫だろ。
そんな俺に、澪は何を思ったのか、ホッと安堵のため息を吐く。
「そうよね。幾ら馬鹿でおっちょこちょいで天然な直人でも分かっているわよね」
「喧嘩なら買うぞ? お? 何する? ゲーム機も持ってきてんだぞ?」
「新居で1番にすることがゲームって……まぁそれも私達らしくて良いかもしれないけど、明日の課題やったのかしら?」
……課題?
はて、そんなものあったっけ?
俺は今日の授業の記憶を必死になって探ってみるも、昼からは父さんのL◯NEが気になり過ぎて午前中しか覚えておらず、午前中には課題なんてものを言われた覚えがない。
頭を抱える俺を見ながら、澪が何か思い付いたかの様な表情をした後で笑みを浮かべる。
ふっ……嫌な予感しかしないぜ。
「ねぇ直人……教えて欲しいかしら?」
「うん教えて欲しい。昼からの授業の記憶全くないねん」
「なら———アンタの部屋と私の部屋、交換してくれるならいいわよ?」
「なっ!? な、なんて図々しくて卑怯なんだ……!?」
「散々な言われ様だけれど、アンタの方が大分卑怯だったわよ」
俺が卑怯?
ははっ、そんなわけないじゃないか。
「よし、こうなればス◯ブラで対決だ。俺が勝ったら課題を教える。俺が負ければ澪に部屋を渡して教えてもらう」
「良いわよ。ただ忘れてないかしら? この前私にボコボコにされたこと」
勝ちを確信した様な笑みを浮かべる澪には申し訳ないが、俺には秘技があるのだ。
これさえあれば、俺が澪に負けることは絶対にない。
「ふっ……少し前の俺と同じだと思うなよ!」
「そう? まぁ直人がいいならいいわ。ただ———負けても卑怯なんて言わないでよ?」
「はっ! お前こそ負けて泣くんじゃねぇぞ!」
———普通に良い勝負して負けました。
ついでにその日の夜は俺が作ることになったのは言うまでもないだろう。
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