第9話孤独最高!


 なんでなんの才能も無いんだと、実家では散々責められた、

 だが本人としては『しらんがな』としか言いようがない。

 自分に向かって吐かれる言葉は叱責か不満か罵倒だけだったので、誰かと会話をするのが苦痛で仕方がなかった。


 そんな生活が十三歳まで続いたのだから、アメリアとしてはもうこの先はただ独りきりで人生を過ごしたい。


 そうして手に入れた、念願の孤独生活。


 誰にも何も言われないで、一日中黙って過ごす時間が幸せすぎて、アメリアは齢十五にしてこれから先は死ぬまで孤独を満喫しながら生きていくと決めてしまっていた。

 

 ただ、いくら手切れ金があるとはいえ、それで一生たべていけるわけでなし。手持ちがだんだん目減りしていくのは少々心もとない。自給自足で最低限生きていけるかと考えたが、いざという時のためにお金は残しておきたい。

 最低限でいいから、外貨を稼ぐ術をかんがえなくてはならない。

 そこで思いついたのが、魔女教育で習った知識を生かして、何か商品を作ることだった。


 アメリアは何を学んでも全く才能を発揮しなかったが、それでも知識を生かして『そこそこ』の魔法を使うことができる。

 只人の役場で子供だましの魔法を披露した時、拍手喝さいを浴びて面喰ったのを思い出す。こんなの大した魔法じゃないと言うと、役場の人は普通は魔法なんて目にする機会がないから自分らからすると奇跡みたいにすごいんだと言われて、その時からふと考えていたことがある。


 魔女の魔法薬も、アメリアの腕では魔女向けのものとしてとても売り物にならないが、只人向け――――魔法を使えない普通の人間向けとしてだったら、買ってもらえるのではないか?

 

 とはいえ、自分で店を構えてお客さん相手に販売するのはコミュ障のアメリアにはまず無理だと判断したため。頑張って町のお店に足を運んで、商自分の商品を買ってくれないかとお願いしにいった。

 最初、挙動不審なアメリアに警戒していた薬屋の親父も、無料で見本をいくつか渡して

 渡して使ってみて欲しいと頼むと、無料サンプルをたくさん渡したのが良かったのか、商品を気に入ってもらえて、割と良い値段で買い取ってくれる契約をしてくれた。


 最初ほとんど売れなかったアメリアの商品だったが、魔女の魔法薬を珍しがって買ってくれた人がリピート買いしてくれるようになって、じわじわと売り上げが伸びてきた。


 買った人からの評判がよかったおかげで、今では薬屋の店主から、『お茶や化粧水も作ってくれないか』とさらなる商品の製造を頼まれるようになった。

 大した売り上げではないものの、貯金に手を付けずとも暮らしていけるくらいの収入にはなる。時々町に商品を卸しに行くだけであとは人に会う必要もない。


 誰にも煩わされない念願の孤独を満喫して、アメリアの生活は順調そのものだった。


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