第7話 異音

魔法の回数回復か……。これ、かなりありがたいじゃん!


 ケチケチ使わなくていいとか最高!

 節約生活からの解放ってこんな感じなんだろうな。


 同名のスキルを重ねるとかも気になるけどまずは回復優先しますか!


『テラファイアの残数1回復。残り9』


 1回1回復か。まぁ予想通り。ただ贅沢言うならレベルが上がったりして取り込みスキルが強化で回復量アップ、そもそも取り込む相手がもっと強ければ回復量アップ、って仕様になってて欲しいけど。


 ともあれこれでこの場、この階層は俗に言う狩場へと変えられるわけだ。



 テラファイア! テラファイア! テラファイア!




 ふぅ。とりあえず3発。この後も隙を見てテラファイアを使って遠距離からの広範囲攻撃で数増やしてっと……。

 反撃とか無理な攻めをしなくてもいいのは本当に助かる。


 このままなら楽勝レベルアップで1週間後は無双してたりして。

 ……場合によっては余裕見て最終階層も狙えるか?


 このダンジョンって絶対攻略しないといけないようなものじゃなくて、主人公の育成が足りなかったとき用のいわば救済処置。

 次回作の匂わせみたいな仕掛けがあるから考察は捗ってるみたいだけど、正直なところ空気なダンジョンなんだよね。んで物語も大分進んだ頃に侵入できるようになるわりにはボスも弱い。


 踏破ボーナスでもらえるのはここに眠る武器一種と覚醒、だったっけっか?


 ゲームの周回は勿論してるけど流石にこうもマイナーなダンジョンだとうろ覚えになるよね。

 その覚醒できる理由とかも考察があったような気がするけど覚えてな――


『邪悪な者と共に眠ったとされる偉大なる力。忌々しき封印を解き放つため、私は非力ながらもまたここを訪れ記録を記す。保持魔力から生まれでる悪の使いの討伐数2000。残り保持魔力は不明。ただ私の行動によってゴーレムに変化が現れ始めた。この行動、目的を後世に残すため私はこの武器と力の一端を――』


 ああそうそう! そんな感じのテキストが最深部のボス階層に置いてある書籍に記載されてるんだよ!

 でも結局何してもイベントは起きないし、最近はそこから考察班が適当な二次創作作品を生み出したりしてさ!


 にしてもアナウンスさんってそんなことまで知ってるんだ。


『このストーリー。ジュリア生存のルートは開拓中。未だ不明なもの、予測できないものが多いですが……。リセットする可能性が高くなるもの、出来事というのはこちらに危険信号として伝わります』


 ああ、だからヘリオスを殺すとちょっとまずいってことが分かったのか。


『はい。それでここ、このダンジョンの最終階層に――。と、その前にまたレベルアップです。26レベルになりました。取り込み可能――。27レベ――。28、29、30……』


 凄いレベルアップ。いやぁこんなこと考えてる間にもどんどんゴーレム減らせてるねえ。

 そんじゃあそろそろまた……テラファイア! 全体の数見た感じあと1回だけ撃ち込んで……。からのぉ、取り込み! 取り込み取り込み取り込み! ……ヤバ、スライムの身体でもちょっとお腹しんどくなってきたかも。ゲップでそう。


「ぷ、ぷへふぅ……」

『レベルが……35になりました。進化に必要なレベルが提示されるようになりました。スキル【取り込む】が強化されました。取り込むことでレベルアップとは別に付与可能経験値が増加可能になりました。この増加量は取り込むモンスターによって変化します。……。取り込んだことによって火属性の残り魔法回数を回復、または重ねることが可能です。またストックしている魔法をスキル熱線やブルーゴーレムの冷線に置き換えることも可能です。選択をお願いします。それと――』



 ――がご。



 長めのアナウンスを聞いていると何かが外れるような音がダンジョン内に響いた。


 今もなお絶賛たおれまくりのゴーレムたちの身体が崩れる音、とはちょっと違う。

 もっと機械的というか……あ、あれだ、あれに似てる。こういったダンジョンでトラップとか踏んだ時に落とし穴が現れるときのお、と……。


「ぷぺ?」


 トラッ、プ?


『一度に大量のゴーレムが生まれたことにより保持魔力が大きく低下。またそれにより1階層に存在できるモンスターの数も減少。大量に生み出されたゴーレムとあなたは自動的に他の階層に振り分けられます。振り分けられた先の階層……30階層。中ボスのフロアになります』


 え? 中ボス? 俺が? ……。そんなの勝てるわけないじゃん! まだ狩り始まったばっかりなんですよ! それで俺まだ35レベルで……いや、もう35か。

 ……。ステータスちょっと見せてもらってもいい? ……。ワンチャン、どころかここの中ボス程度ならむしろ……。これ、カモれるかもしれないぞ。

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君に経験値効率最高な俺を殺してレベルアップして欲しい。~経験値モンスターに転生した俺は推しキャラを成り上がらせるために鍛えに鍛えたあとスキル《蘇生》で何度でも殺されに行きます~ ある中管理職@会心威力【書籍化感謝】 @arutyuuuuuuu

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