第17話

「リンちゃんなう! リンちゃんなう!!」

「ちょっ、バカ……っ!! やめなさいカエデ!!」


修学旅行明けの休日。

小学校からの幼馴染4人がカラオケボックスに集まっていた。

最も、内一人は高校1年生であり、修学旅行明けでもなんでもないただの休日であるが、そんな休日を彼らのために割くことを厭わないぐらいには、彼らとの関係は長いものであった。


「あの〜俺はいつまで床で正座していればよろしいのでしょうか……?」

「アヤカに聞いたら?」


リンに素っ気なく返されたレンは、アヤカの方に視線を向けるが、


「…………」


彼女はまだまだ許していないぞと訴えるように沈黙を貫き、正座するレンを横目で一瞥するだけであった。


「サッカーにしか能がないサルだからこんな問題を起こすのよ」

「はい……」


そして再度リンにお小言を頂戴した彼は、項垂れながらも、皆がソファーに座る中、床で正座を続けるのだった。




「もしもし」

「リンちゃん!」

「久しぶりね、カエデ」


ユウジ達が修学旅行から帰宅した日。

リンはカエデからかかってきたIINE通話に応じていた。


「修学旅行は楽しかった?」

「うん、楽しかった! あのね──」


そうして話を聞いていると、ユウジとサクラの名前が出てきて驚く。

あの双子の弟とは夏休み中にあった自身が通う高校の見学の時に会ったことがあり、面識があった。

サクラという名前も、その弟と一緒にいた大人しそうな小柄な女の子としてしっかりと記憶している。

その彼らがカエデと友達になったというのだから、世間は狭いものだ。


そうしてしばらく修学旅行の話を聞いていると、


「リンちゃん明日暇?」


明日の予定を尋ねられた。


「まあ空いてるけど、内容によるわね」



「レンが私に告白した話知ってる?」



「…………はあ?」



カエデから聞かされた内容は初耳であったが、ややこしい問題が起きていそうなことは察した。

なぜなら、アヤカはレンのことが好きだったのだ。

それも、小学生の時からずっと。


そのアヤカがいる場で、レンはカエデに告白したらしい。

となれば、3人の関係が難しいものになっているのは想像に難くなかった。

この調子だと、カエデとレンは付き合っているわけでもないみたいだし。


「それで思ったんだけどさ。ほんとにレンって私の事好きだったのかなって」

「……というと?」

「いや、私達2人きりで話すこともほとんどなかったし、IINEも全然してないし」


そんなカエデの疑問から、翌日の幼馴染全員集合に繋がるのだった。



翌日、リンによって駅前のカラオケに呼び出されたレンとアヤカは最初微妙な面持ちであったが、リンが話を聞いていくうちに、


「つまり、アヤカに告白されて今の関係を崩したくないから、自分がカエデのことが好きということにしてそれを阻止しようとしたと」



「アニメの見過ぎじゃない?」


「うっ……」


レンvs女子の構図に移り変わっていった。


「アヤカの気持ちに向き合うことから逃げた上に、カエデを巻き込み、二人を傷つける結果になったわけでしょ?」

「救えないわね」


リンによって放たれる正論によって、レンのライフは削られていく。


「それとも、本当はカエデのことが好きだったの?」

「いえ……、カエデにはこれっぽっちも興味ないです」

「ぁあ!? おい表出ろやこらあ!!」



「………………よくカエデちゃんの胸見てたくせに」


「え!? なんか見られてる気がするなと思ってたらそういうこと!?」

「い、いや」

「やっぱサルね」

「……思春期おつ。今のうちにこれまでの所業をお巡りさんに自首してきたら?」

「お、俺は所詮サルですよっ!! でも善良なサルだ!!!!!」




3人の間にあった溝は、この騒がしい3時間の間に埋まりつつあるようだった。


「まあ『雨降って地固まる』とは限らないのだけどね」



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(^ω^≡^ω^) おっおっおっおっ

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カリンとカレン~双子の姉が構えと迫ってくる~ @Amayayaya

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