ある社会人の独り言。
俺は日本の企業タカハシに勤めてる平社員だ。
うちの会社は紡績から始まり、社訓が「チャレンジ精神が旺盛なことは良いこと。たくさん当たって砕けて、また立ち上がることをよしとする。」という社訓。
要はいったれーっやったれーっ!!精神が旺盛な社風なのだ。
おかげで、今はやってないものがないのではないか?と思われるくらいの幅広い事業展開をしている。
その代わり、やる気がない人間はうちの社風に合わず、気がついたらいなくなってるということも多々ある。
その反対にうちの社風にカチッとハマって仕舞えば、実に居心地がいい会社になってる。福利厚生が実に充実してるし・・。
そんなタカハシだが、二つ有名なことがある。
一つは、タカハシに勤めてる人たちは掃除係の人間までイケメンと美人が多いというくらい、実に顔面偏差値が高い職場になってる。
と言っても、俺みたいなフツメンもいるし、プラスサイズの方もいるので、一概に多いとは言えないと思うのだが、世間一般の会社では多いらしい。
そしてもう一つ。うちの社員が表参道を買い物をしていたら、急に消えたということだ。消えたところを誰かがSNSで撮影されていて、あっという間に拡散されて、一時期マスコミが現代の神隠しとして盛り上がっていた。それと同時一気にアンチが降って沸いたな。
一社員がなんで高級セレクトショップやハイブランドの紙袋をたくさん持っているんだ!港区女子かよwwとかパパ活女子乙wwwとかetc・・・
流れていたが、タカハシの社員たちはそんなことをひとときも思っていなかった。
だって、社員一同消えた社員の密かなファンが多かったから、かくゆう俺もそうだ。
なんて言えばいいのだろうか?時々いないか?計算を一切含まずに誰とも分け隔てなく接することができる人間。うちの会社みたいに上も下も関係なくオープンな会社でもやっぱり派閥とか仲良しグループとか出てくる。そうなってくると、やっぱり計算が出てきて、あっちと付き合ったら上司と覚えがいいから自分も上司に覚えてもらえる。今まで付き合っていたそっちと付き合ったら覚えが悪いからやめておこう・・みたいなこと。
それなのに彼女は、そんな垣根を軽々と飛び越えてしまうんだ。
彼女を挟んで話すと、お互い良い思いを抱いてない人間同士が
気がついたら仲良くなってる・・ていうことも多々ある。
人間関係を円滑する才能があるってなんて素晴らしいのだろう・・。
そんな彼女が突然消えてしまった。
会社の空気が一時期まじで暗かった。
俺も御宅にもれずあの時はついつい暗いため息をついてしまっていた。
しかし会社は一社員が消えても、社会という日常は続いていく。
一日という日常が2年続いたこと、ある日急転直下の出来事が起こった。
彼女が見つかったっていうニュース。
タカハシにそのニュースを聞いた時激震が走った。
なぜなら彼女が見つかったのは異世界だからだ。
彼女直属の上司と部下が実際にあったという話と証拠写真が一気に会社内に走った。
その時のみんなの喜びようはやばかった。かくいう俺もめちゃくちゃ喜んでしまった。
それと同時に社内で文面で、「高橋瑠花が見つかったことはタカハシの社内以外秘匿とする。もしそれを破ったものはいかなる手段を持って処罰するのでそれを胸に秘めること。」
というのが末端の社員まで流れてきた時はびびった。俺が知る限りみんなすぐさまハンコを押して、提出をしていたな。
そして今日。会長文面で社内メールが送られてきた。
「タカハシは異世界に支店を出すこととする。
異世界に行っても良いという社員を募集とする。」
おおーー!!!俺はガッツポーズをし、なんも深く考えずに募集要項を埋めて送信した。悔いは一切ない!!
募集してから一週間後。
俺の社内メールに合格通知がきた。
うわ!!マジか!!!!いよっしゃーーーーっっっっ!!!
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