第16話 祖父母がきた!!
直人たちが帰っていった一週間後。
私とリーノさんはのんびりとお茶をしていて、休日を楽しんでいた。
「おー!ルカさん。このお茶最高にいいですね。」
「でしょー。紅茶があるから、緑茶もあるかな?と思ったらあったんですよ!!
久々にスキルを発動してお茶屋さんを見つけたら、なんとお肉屋さんと親戚関係だったんですよ。お肉屋さんと八百屋さんとお茶屋さん。みんな親戚なんですって。」
リーノさんは親戚ということを聞いたら曖昧な笑顔を向ける。
なんかあるのかな?まあリーノさん。街の警備も兼ねてるから街のことよく知ってるよね。話したかったら話す人だから、無理に聞く必要ないか。
リーノさんは湯呑みをテーブルに置いて、あらためて湯呑みを見る。
「しかし・・。このコップの手触りいいですねえ。最初は熱くてさわれなかったのですが、だんだん持っているうちに手に馴染んでくるというか・・。不思議なコップです。」
「湯呑みで緑茶を飲むとなんていうか・・まったりしますよね。」
お互い顔を見合わせてふふふ・・。と笑い合った。
なんてことないそんな日常に幸せを感じるなあ・・。
「お待ちください!!孝雄様。淑子様!!」
「ええい!!うるさいぞ!直人。なんでお前が私の可愛い孫にあっているんだ?」
「そうよ!!直人。いくら守り人でもずるいわ!瑠花ちゃん?今すぐに行きますからねー。」
あっけなくまったりとした時間が潰されました。
心配性の祖父母に・・・。
とうとう祖父母が来ました。
「瑠花!!おおー瑠花!!」
「瑠花ちゃん!!ああ瑠花ちゃんなのね!!」
ピンクのドア越しから聞こえていた声がだんだん大きくなって扉が開いた瞬間。
二人が駆け込むように入ってきました。
「おじいちゃん!!おばあちゃん!!苦しい・・。ちょ・・窒息する窒息す・・・。」
「孝雄様。淑子様。いい加減にしてください!瑠花様が苦しそうです。」
「あ・・。瑠花。すまない。おじいちゃんが悪かった。」
「瑠花ちゃん・・ごめんなさいね。もう二度と会えないと思っていたら
また会えて、おじいちゃんもおばあちゃんも会えて嬉しいの。」
リーノさんが呆然と見ている。うん。そうだよね。怒涛っていう言葉あってるよね?
直人がリーノさんに説明して、その後にリーノさんのことを説明して、二人はハッとした顔になって、深い礼をした後、リーノさんにおじいちゃんが握手をした。
「おじいちゃん。おばあちゃん。あらためてご心配をおかけして大変申し訳ありませんでした。でもね。私この世界にきて、生活を楽しんでるの。私は運が良かったんだけど、私がこの世界に呼ばれて、右も左も分からない時にリーノさんがこの世界のことを説明してくれてね。そこからリーノさんと一緒に暮らしているうちに、この世界に足を根付かせようと思ってる。」
二人は、私の言葉を聞いて、隣のリーノさんに目を向けてる。
その目は孫可愛さの視線ではなく、一人の冷徹なビジネスマンの目だ。
相手の奥底を見抜いて、交渉を引き出して自分有利の商談に持っていくような・・。
「あのね・・。」
「瑠花ちゃん。わかってるから。今は少し黙っていましょうね。」
おばあちゃんはたおやかな笑みを浮かべてる。
直人は黙ったままだし・・。つーかおじいちゃんのこの目を見たらみんな怖気ついて喋られないよね。
リーノさんはそんな目を真正面から受けているのに、物怖じしないでおじいちゃんを見つめ返してる。
「ふふふ・・。」
「なんだ?淑子。」
「あなた・・。もう充分でしょ?」
「な!!お前はそんな簡単に手を引くのか。」
「ええ。リーノさんのこの目を見たらもう十分。
直人が守り役をリーノさんに渡すと言った理由がわかるわ。」
おばあちゃんは席を立ってリーノさんに深々と頭を下げる。
「どうぞ。瑠花のことをよろしくお願い申し上げます。」
「おばあちゃん・・・。」
「ふふ・・。瑠花ちゃんが幸せに生きるなら、私たちはどこに住むのは関係ないのよ。ただし。私たちはたびたびこちらにくるわよ。その時瑠花ちゃんが少しでも不幸だと感じたら、有無を言わさずに日本へ連れ帰ります。それでいいわよね?あなた。」
おばあちゃんはおじいちゃんをにっこり微笑む。
「ああ・・。それで構わない。リーノさんとやら。今日は迷惑をかけてしまった。
孫のことを思うとつい爆走してしまうのだ。年寄りの我儘を許してくれ。」
おじいちゃんはそう言って、頭を下げる。
「あの・・。ルカさんのお祖父様。お祖母様。僕は僕ができるやり方で絶対にルカさんを幸せにするので、どうか見守っていてくれませんか?
こちらの世界と常識が違うかもしれませんが、その違うところもどうか見守っていただけないでしょうか??」
おじいちゃんとおばあちゃんはリーノさんの言葉を聞いてキョトンとした顔になって
一気に爆笑した。
「ね?あなた。間違い無いでしょ??」
「ああ間違いない!!私たちの心配は杞憂だったな。」
「とりあえず、お茶にしませんか??」
リーノさんはお茶目な表情になって、私を見る。
私はお茶の用意をする。
「ねえ・・おじいちゃん。おばあちゃん。直人。このお茶を飲んでみて?
さっきねリーノさんとこのお茶を飲んでたの。」
私は緑茶の準備をする。湯呑みは二つしかないから、ティーカップに出す。
「おやおや・・。」
「あらあら・・。」
「これは!!」
三者三様の驚きの表情。
私はそれをみられたから満足。
「ね?異世界って面白いでしょ??」
それから私たちはお互いのことをここで話した。
内容は直人たちがきたのと被るけど、今回はおじいちゃんとおばあちゃんに会えたのが嬉しすぎて、笑顔がもっと増えたかもしれない。
「孝雄様。淑子様。そろそろ時間です。」
直人が時計を見て、席を立つ。
二人は時計を見て、ため息をつく。
「ああ・・楽しい時間はあっという間だったな。」
「本当ね・・。あなた。瑠花に言わなくっちゃ。」
「そうだそうだ!!忘れてた。」
おじいちゃんはおばあちゃんに言われてぽんっと手を打った。
「え?なになに??」
「瑠花。おじいちゃん。こっちにビジネスチャンスを広げようと思うんだよ。」
「え・・・と・・・。タカハシ異世界支店を作るってこと??」
「ああそうなんだ。あ!!時間だな。その話はあっちで突き詰めるから
瑠花はなんも心配しないで大丈夫だぞ!おじいちゃんとおばあちゃんと直人に任せなさい!!それではまたくるからな!!」
「またね!瑠花ちゃん。」
「えっと・・瑠花様、リーノ。ご迷惑をおかけしました。またきますね」
そう言って三人は嵐みたいにさっていった。
つ・・・疲れたあ・・。
私とリーノさんは困ったような顔を見合わして、同じような表情を見たら笑ってしまった。
「いやあ・・。瑠花さんの周りはみんな瑠花さんを愛しているんですね。僕もちゃんと皆さんにきちんとご挨拶ができて良かった。」
(久々のスキルの声ですよー。クローゼット開放座標指定できますが座標指定しますか?)
(あ!久々だね。ごめんね。最近スキル使っていなくって。)
(いえいえ・・。スキルは順調ですよ。これからますます面白くなりますよ)
(ちょ!!どんなふうに面白くなるの。怖いんだけど)
(ふふふ・・もう私をだれにも止めることはできないのだああっっっ)
(まって!!ちゃんと立ち止まってね。お願いだから立ち止まってね。)
(ふう・・我主人は向上心がないんですねえ・・。)
(いや。それは向上心ではなくって単なるスキルの爆走だから・・。
まあいいや。座標指定ってなに??)
(リーノさんの家に隠し部屋を作ってもらって、その後にあっちに何箇所か座標を作りましょ。座標はスマホのGPS機能があれば大丈夫ですので。)
(ふーん。それがスキルのおすすめなのなら、やるわ。ただ・・変なことになったりしないわよね。)
(え?主人が信用してくれないグスグスグス・・・。)
(だんだん芸達者になるスキルが怖いし、心配してるだけよ。)
(まあいいわ。よろしく。)
(オケマルーーっっ)
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