第10話やっぱりお洋服が好きなのよ!

生活に追われて、二週間目。

自分の生活圏のお店はマップを見なくても行けるようになったし、お肉屋さん野菜屋さんに果物屋さんに雑穀屋さんに生活雑貨屋さんと懇意にしてるお店が徐々にできて、ライフスタイルに徐々に余裕ができてきた今日この頃。

ついた初日に行った古着屋さんへまた来ました!


「こんにちは〜。ねえ店主あのショーウィンドウのドレス素敵すぎるのだけど。あれ古着じゃないよね??」

そう。この国のというかこの街のお洋服ではなかなか見ないデザインだったの。

襟は黒の総レースで作られていて、そのレースがとても繊細でいて美しいの!襟のところに革のリボンタイをつけていてそれもまた可愛さを際立たせてる。

そして切り返しのところにも黒の総レースの切り替えをしていて、そしてそのレースはすごく綺麗な黒を使っているのよ。しかも同じ黒でも襟と違う色の黒。

この街に来て黒を使ってるドレス喪服以外ということね!白と黒のモノトーンを見るなんて・・。

「おや。この前来たお嬢さんじゃないか??やっぱり見る目があるねぇ・

・。ありがとうよ。このデザインは今着てるお嬢さんのスカートを作った人と一緒の子なんだよ。この子はデザインも服もとても素敵なものを作るんだけど日の目を見ないでね・・。だから、私のお店に新品を作ったら、このお店に飾ってるのさ。」

え?なんでこんな素敵なデザインが日の目を見ないの??

「え?嘘でしょ??なんでこんな素敵なデザインなのに・・。しかもこんなに美しい総レースの襟を作ってる方なら相当手がいいはずじゃない。」

「そうなんだよ。貴族たちは自分が見る目があるはずなのにね・・・。

と言ってもここにこの子のデザインの服があるから、一部の貴族たちはこの子を使ってるんだろうけどね。それでも、この子の名前を出さないという理由で使ってるからね。真の役割になっていないのさ。」

「ねえ・・そういえば私自分の名前言っていなかったね。私ルカというの。」

「よろしくね。ルカ。私はメリーだよ。」

「メリーさん。詳しくこのデザイナーのお話をしてくれない?そして今このデザイナーさんが作ってるお洋服で私のサイズに合うお洋服全部見させて!気に入ったら全部買う!!」

「嬉しいねぇ・・。やっぱりみる目がある人はちゃんといるんだね。いいよ。ルカの粋を買ったよ。そのデザイナーの名前はシャルネ。猫獣人のシャルネといえばうちらの界隈はわかると思うよ。流行というものを着るのが貴族の最先端というのが常識なのだけど、一定数はその最先端と違う自分の美意識を大事にしたい貴族がいるのさ。その貴族たちがこぞって服を作らせてるのがそのシャルネなのさ。ただね、悲しいことに獣人の差別が貴族たちには根強くてね。その一定数の貴族が貴族である以上、公に言えない現状があるのさ。」


なるほどね。いくら腕が良くても、獣人ということがネックなのね。

どこの国でも差別はあるものね。それでその差別のせいで、シャルネは自分の力量をちゃんと試せないのね?ならいいわ。私がそのシャルネの服を買えるだけ買うわ。だって今私直観的に思うけど、シャルネが表にでたら絶対に何世代にもわたるブランドになる。そして、私は今そのブランドの出始めにいることになる。

だったら、今そのシャルネの服を買えるうちに買いたい。

それはきっと後々デザイナーを目指す人の力になれるもの。

「メリーさん。私シャルネさんを応援する。でもね。メリーさんは勘付いてると思うのだけど・・。私たちが履いてる靴あるでしょ??

その靴とシャルネさんの服って合わないのよ。」

「ああ・・やっぱりそっちに目がいくかい。」

私とメリーさんは足元に目が言ってため息をどちらかともなくついてしまう。

だって、私の足元には無骨なデザインの編み上げ靴だからだ。

「なんで。どこの国も靴には頓着しないのかね?貴族様の靴だってこれよりほんの少しオシャレな感じで似たり寄ったりの靴だしね・・。」

「メリーさんは。服がシャルネさんだったら靴はあの人と目安をつけてる方いるんじゃないの?」



私の言葉にメリーさんがニヤッと笑う。

「ルカは面白い子だよ。この国だと間違いなく変人だね。」

「あら?それは褒め言葉として受けとるわ!」

「いるねぇ・・・。ただ。あのこの靴は表に出ないんだよ。」

「表に出ないってどういうこと??」

「うーん。あの子はこの街の人ではないからね。私が前に住んでいた街の人なんだよ。本業は革職人のもとで働いてる子なんだけどね、趣味で女性靴を作っている子なんだよ。、面白いデザインの靴を作っていてね。踵に小枝を突き刺してるかのような女性靴を作るんだよ。自信満々だったのからかみんなに見せていたら誰がそんなものを履くのか?ってみんなに笑われていたのだけどね。私自身はあの高さは履けないけど、あの子が作る靴はみんな美しくてね・・。いつかあの子の靴を私のお店に置こうかなと思っているのだけど・・。

しかし色々とあってあの子は心を閉ざしてしまってね・・・。」



待って!!踵に小枝を突き刺したような靴ってピンヒールのことじゃないの??

え?この国ってヒールがあるの??

「うわあその子が作った靴履きたい!!」

「そうかい・・よしわかった。その子のことは私も気がかりだったんだ。ちょうどこっちに移ってから落ち着いたし、そろそろあの子のところでも明日あたり行ってこようかね?」

「ええー!!嬉しい!!ありがとうメリーさん。」

「いいってことさ。私もね洋服のことでこれだけ喋られるのが嬉しくってね。」

「それは私もだよ!」

この街で私は大好きなお洋服を話せる友達ができました。

そして、この街に来て二週間。とうとう初めて爆買いしました。

トータルで30,000スプルでした。なんでそんなお金を持っているかって??

ポイント投資とかの複利がやばいことになっていてね・・・。

一年後でも楽しみしとこくらいの気持ちでたまたま覗いたら。30万ポイントになっていたの!まだ初めてそこまでじゃないのに・・なんでそんなにポイントが貯まるの??っていうくらいに貯まっていたから、そこから少しだけ使わせてもらいます。

(ポイント投資から3万スプルを1000スプル30枚で現金化してください。)

(かしこまりました。小袋の中に入れておきます。)

ずしっと重くなった。けど素敵なお洋服たちの前に私はときめきが止まらない!!


やっぱりお洋服大好きだぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!

爆買い楽しぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっっ!!!



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