第9話 軟禁されてる聖女(聖女視点)

僕の名前は、太刀川あゆむ。ジェンダーはジェンダーレスということでいいのかな?男になりたい時もあるし女もなりたい時もあるから、ジェンダーレスであってるはず。あっていなかったらごめんだよ。


召喚される前まで、メイクを決めて姉から借りた制服を着て、女子高生になり切って表参道を歩いていた。

そんな時目の前のお姉さんが足元をぐらついたみたいで倒れそうだったから支えたと思ったら何かに引き摺り込まれるように落ちていく。

どこへ落ちていくのかわからないまま、意識を失ってしまった。


はっきり言ってあの後起こったことを思い返せば、はらわたが煮え繰り返るので、意識をずっと失ったままでいたかった・・。


おおー聖女よ!!と勘違いした教皇は僕を男だと分かった瞬間、顔を赤くして騙したな!と言って私を教会の地下牢に軟禁した。

自分勝手な人間はどこまでも自分勝手だし、なんて理不尽なんだと思っていたけど、自分の性格上。ずっと怒りを持ち続けることができなかった。

聖女ではないけど、僕が聖魔法あるのは間違い無いらしく、そのため教皇も自分のことを殺すことができず、かといって希少なせい魔法を持っているため街に放り出すこともできず、地下牢に軟禁されている。


ということをお世話してくれてる修道女が色々と話をしてくれた。

修道女も今の教皇に対して色々と思うことがあるらしくて、

今の教皇に対しての黒い話を色々と教えてくれる。

ねえ・・修道女さん大丈夫??そんなこと言って??

「かまいませんわ。あのクソジジイのことなんて。結果的に聖女を召喚したのも自分の力を誇示しようとしただけですもの。そのために聖女を召喚して、女じゃなかったらってこんな場所に軟禁して、あまりにも失礼すぎて・・。こんなんだから、民たちの信仰が離れていってしまうんですわ。」

「そういえば。隣にも私が軟禁されてる部屋よりも豪華な部屋があるのですが、どなただろう?ご近所付き合いしたいなあ・・。」

僕はある程度自由にできるので、暇なら自由にできる範囲で散歩してるのだけど、

その時に隣の部屋が豪華で誰が軟禁されてるのだろう?とずっと気になっていたんだ。


「あら?ご近所付き合いなされます??では呼びますわね。」

「え?いいの??」

修道女さん。めっちゃ軽くない?相手の意向とか考えないでいいの?

「そうと決めたら早速しましょう。そうだ!!今から美味しいお菓子持ってきますわね。」

「ありがとう。ちなみにご近所さんはどなたなの??」

「あら?言っていませんでしたっけ??王族の方ですわ。」

・・・・は??王族????

え??王族がなんでいるの??

「あの教皇が今のこの国の弱みというか実権を握ってるからですわね。」

はあ・・・本当にあのクソ親父は!!

修道女さんはご近所さんを探しにいってくれました。

どんな人なのかな??気になるなあ・・。


ご近所さん、すごいイケメンでした。体つきもがっちりしていて素敵。やばい!!めっちゃタイプ。

「いやあ。聖女さんですかあ・・。」

うわぁ声もいいなあ。

「どうも勝手に呼ばれて、男だと思ったら軟禁された聖女です。」

「うわあ・・それはそれは・・。なんといえばいいのか・・」

「いえいえ・お気になさらず。なんていうか、元いた国も自分は馴染めなかったので、ある意味ちょうど良かったかもしれないです。召喚されて、まさか軟禁されるとは思いませんでしたが。ですが王族の方がこんなところに軟禁されているなんて・・。」

見た目はとっつきにくい印象だけど、話し方は優しいし、気さくだしすごくいい方だ。

「ああ・・。それはですね。ちょっと教会と揉め事を起こしましてね・・。

で、ちょっとした武力衝突が起こりそうだったので、こちらが人質に入ることで治ったんですよ。」

「うわあ・・きな臭すぎて草。」

そんな話をしていたら修道女さんが戻ってきた。

「はい!今回のお菓子は、フルーツタルトですわよ。」

どこからお菓子を調達してくるんだろう?少し不思議に思いながらも、目の前のスイーツに目が惹かれる。

「ところでアユム様?草って一体どんな表現なのですの?』

僕は草の使い方を説明したら、修道女さんはまあ面白い表現で草ですわね。

って早速草を使っていて草だな。

「なるほど・・面白い表現をするなあ・・。」

草という表現の説明に妙な関心をするのを見て少しくすって笑ってしまう。

「本当ですわね。ユリグラド様。」

「そうだねえ。マリクラス嬢。」

この修道女さん。マリクラスという名前だったんだ。

「お二人はお知り合いなのですか??」

「ええ・・。私もユリグラド様もなんていえばいいのかしら??

権力闘争に負けた同士って感じでよろしいでしょうか??」

「うん。そうだね。」

うわぁ・・・。貴族って怖すぎる。


それから、僕たちは色々と話し合っていくうちにどんどん仲良くなっていった。

ここに召喚されてから、色々とありすぎて、感情とかも色々と追いついていなかったけど、この時間がずっと続けばいいのにって思ってしまうくらいに、僕は打ち解けていた。


そんなある日のこと。ユリグラドさんとマリクラスさんといつものお茶会の時に

こんな話が出た。

「一週間後。この教会を出ようと思うのだが、アユムくんも一緒に出るかい??」

「え?いいんですか??」

「もちろんですわ!!教会側もうちらを軟禁するメリットがないんですもの。

そろそろ教皇が立場を追いやられると思いますし・・。」

なんで教皇が追いやられるってわかるんだろう??

でも、いい加減にここにいるのも飽きてきたことだ。外の世界が見たい。

僕は外の世界が見たいことを告げたら、二人はすぐにうなづいてくれた。

「では決まりだ。一週間後うちらは表に出て市井として生活するぞ。」

「ええ・・楽しみですわ。わたくしもこのために掃除や料理、家庭に関することを学んできたんですもの。修道女送りにしてくださったお父様には感謝ですわ。」

「僕もだよ。やっと王族から籍を抜けることができる。長かったなあ・・。

王族同士の権力闘争の果てに教会に喧嘩売るわ、王家同士で教皇派と貴族派と王族はで武力闘争を起こしかけて、そこから色々とあって、僕が軟禁されてから・・10年か・・。市井で生活すると決めた時から、色々と自分でできるものをやるようになって、やっとこさ許しが出たんだよ。」

許し??なんかよくわからないけど嬉しそう・・。

ここに来てから2ヶ月。僕は表に出られることに喜びを感じていた。

あのお姉さんとも会えたら嬉しいなぁ・・。









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