師弟の最期

「心とは何か、答えてみよ」

「理性、感情、知識、意志などの働きを持つもの、でありましょうか、師匠」

「他を言いたまえ」

「対象を理解する為のもの、でしょうか」

「他を」

「……答えを得る為のもの、でしょうか」

「他を」

「……嗚呼、分かりました。迷いを齎すもの、でありましょう」

「よろしい。では……」

「師匠、もういいです」

「……なにごとか」

「あなたより、自身の心の方が教え上手ゆえ」

「……よろしい。では去れ」

「……師匠、迷いが生じました」

「去るがいい」

「有難うございました」

「……うむ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る