第3話 50年前の「二十歳の原点」に見る2023年の現代社会

   高野悦子さんの見た「国家」も「学生運動」も、人間が作り出した幻影であった。

  そんな夢幻(ゆめまぼろし)に振り回されて右往左往・「疾苦(悩み苦しむこと)八苦」する人間。

 

「侏儒の言葉」芥川龍之介 「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/)より


「・・・死は何処へ行つても常に生を孕んでゐる。光を失つたヘラクレス星群も無辺の天をさまよふ内に、都合の好い機会を得さへすれば、一団の星雲と変化するであらう。さうすれば又新しい星は続々と其処に生まれるのである。」


「真砂(まさご)なす数なき星のその中に吾に向ひて光る星あり」


  <現代版 侏儒の言葉>

  「警察は権力に甘え、革命家は革命思想という権威に甘えている。

  どちらも、汗水流してものを作るという現実を知らない世間知らずの「ガキ」である。

となると、現在私たちが生きているこの「世間」とは、警察のような世間知らずが作ったおもちゃであり、革命家が夢想する社会なるものもまた同じレベルに違いない。彼ら夢想家の作る社会とは、畢竟「ディズニーランド」と同じ子供だけが喜ぶ幼稚な世界でしかない。畑や海や工場で汗水流して働く人や、八百屋のおばちゃんや魚屋のおっちゃんたちの世界の方が、余程血の通った現実といえるだろう。

高野悦子さんは、国家権力や革命家という仮想現実(VR)ばかり見て、居たたまれなくなり現実世界へ還っていきました。

高野悦子さんの愛読書が太宰ではなく芥川であったなら、その死はもっと遅かったか、、或いは早かったか。」


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