第31話 エピローグ
ドラゴナ神国に来て数十年、アリエルは学生時代とほとんど変わらない美しい姿を保っていた。
「アリエル、今日は教会へ視察に行きたいんだけど同行してくれる?」
この国の宰相となっていたクロウは妻アリエルを連れて教会へと訪れた。
「見舞いをしたい者がいるんだ。亡命やドラゴナ神国民の伴侶など様々な理由でこの国に来た人の支えになっていた方だ。この特殊な国に慣れるまでは葛藤や恐れで心を病んだり、馴染めず引きこもったりする者もいる。そう言う彼らを慰め、寄り添いこの国に溶け込み幸せに導いていた大変世話になっている方なんだ。」
「まあ、それはお礼を言わねばなりませんね。半分血をひく私でさえ戸惑いましたもの。」
「その方は長くこの国のために尽力をしてくれたんだけど、もう長くはないそうだ。感謝の気持ちを伝えたくてね。」
クロウは教会の責任者の案内でベッドに横たわる老人のもとへ向かった。
ベッドには長い白髪に顎からは長いひげを生やしたかなり高齢の男性が横たわっていた。
「長らくの間、ドラゴナ神国のため尽力してくれたことに感謝する。」
「心細い思いをしている同胞たちの支えになっていただきましてありがとうございました。私からもお礼を申し上げますわ。」
アリエルはどこか懐かしいような顔をしたその男性の手を取り心から感謝を伝えた。
「・・・もったいないお言葉をありがとうございます。最後に・・・お会いできて光栄です。どうかこれからもこの国の為に・・・お幸せに。」
そう言って男は目を閉じた。
クロウとアリエルが部屋を出ると、しわしわの目から涙が零れ落ちた。
「アリエルありがとう。君の愛する国のために私は少しでも役に立てたかな。でも次の世があるのなら、・・・願わくば君を幸せにするのは私でありますように。」
セドリックはその数日後、静かに息を引き取った。
その顔は満足したように微笑んでいたという。
終
最後までお読みくださりありがとうございました!(*´▽`*)
アリエルパパを亡き者にしたダニエルのお仕置きについて、蛇足ながら番外編で書こうと思います。
(本編に入れると物語の進行の邪魔になりそうだったので。)
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