第7話 視聴者が巻き込まれるお笑いを!

 視聴者参加型のお笑いは、視聴者がツッコミを担当する。

峰本は、SNSにショート動画をあげ、ツッコミを募り、使えそうなツッコミを動画に取り入れた。ある時は字幕、またある時は天の声…時には段ボールに書き、時間があるときは綿棒を並べてツッコミを視覚的にカタチにしていった。

 コンビの2人共でボケ、視聴者の好きなようにつっこめる。空斎があるがままに振る舞うことで、嘘偽りのない自然なボケが見る人の心を穏やかにした。少しずつ人気が出始め、収益も安定してきた。

 ある日、部屋の片隅で空斎は琵琶を手に取り、平家物語をそらんじた。その様子を見ていた峰本は、この先どんなに売れても、決しておごらず、たとえ人気がなくなったとしても、空斎と二人で乗り越えようと心に誓った。

 そこに電話がかかってきた。それは所属事務所から、M-1グランプリの予選に出ないかという提案だった。

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