第5話 無戸籍・無保険・無職の男
鎌倉時代には琵琶法師だった
峰本は、空斎に一緒に暮らすことを提案し、空斎は快諾した。地獄で将軍様と一緒に暮らす、「
ある日、二人がテレビを見ていると、空斎は聞き覚えのある声を耳にした。なんとそこには
しかし、空斎はあいにく目が悪い。そのため、声の持ち主が雲地出田かどうかわからない。そこで峰本に尋ねた。
「あれはウンチデタではあるまいか?」
峰本はなんの冗談かと思ったが、激しい嫉妬に包まれる空斎を初めて見たため、真剣に取り合った。
「彼を知っているの?」
すると空斎はかつて琵琶法師をしていたとき、後からやってきた分際で縄張りを荒らされたと言うのであった。
峰本は言った。
「彼は最近人気のあるお笑い芸人だよ」
「お笑い芸人だと…?」
空斎は、無知ながらも懸命に理解しようと努めた。
そしてこう尋ねた。
「それがしもお笑い芸人になれるだろうか…」
峰本は、ここぞとばかりに切り込んだ。
「一層のこと、二人でコンビを組まないか?」と。
コンビをてっきり
空斎は、将軍の懐深さに感謝した。自分を気づつけまいと、お笑い芸人にはなれないことを伝える代わりに、コンビ(垢)になろうと申し出てくれたと理解した。その優しさに感謝した。
それは琵琶法師と将軍に扮する漫才コンビ≪≫鎌倉時代の誕生の瞬間であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます