2話目

いつまでもいていいのか。

ちょっとホッとした。


ベッドに腰かけていると、ふと、コーヒーの香りがした。


いつの間にか、目の前のテーブルに、コーヒーが載っている。

白いカップの中に、熱そうなコーヒー。

手を伸ばすと、さっきの双子が現れて言った。

「それを飲むと、もといた世に戻りますよ」

僕は伸ばした手を引っ込めた。


サイドテーブルの上のテレビはつくのか。

リモコンを目で探すと、テレビの前にあった。

あれでつけるんだな…

また双子に話しかけられた。

「それをつけると、もといた世に戻りますよ」

僕は、テレビをつけるのをやめた。


ベッドの下に、僕のスニーカーがあるのを発見した。

引き寄せると、またしても双子の声。

「それを履くと、もといた世に戻りますよ」

立っている双子の向こう、コーヒーの隣に、いつのまにか赤いりんごがひとつ置いてある。

なんでだろう、と手を伸ばした。

「それを食べると、もといた世に戻りますよ」

やはり双子は言った。



                       3話目に続く


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