第48話 調査

こうして、私たちは一緒に過ごすことになりました。

彼のためにも精一杯看病したのですが、彼の様態は一向に良くならず、日に日に衰弱していきました。

それを見る度に不安になりましたが、それでも懸命に努力しました。

ですがある日を境に、彼は高熱を出してしまい、その日から急に容態が急変してしまったのです。

私は毎日側にいて看病を続けましたが、熱は下がることがありませんでした。

そんなある日、突然彼が苦しそうにしながら言いました。

「愛羅、もういいから早く逃げろ……」

そんな彼の言葉を聞いた途端、私の目から涙が溢れ出してしまいました。

泣きながら謝ることしかできませんでしたが、そんな私の姿を見て彼は弱々しく微笑みました。

そして最期にこんな言葉を口にしたのです。

それを聞いて絶望感に苛まれる私を他所に彼は息絶えてしまったのでした。

(ユウト、死んじゃったんだ)

(私はこれからどうすればいいの?)

悲しみに打ちひしがれている私に天の声が響きました。

それは神の声であり、不思議な力で私を包み込みました。

そして、 私と彼の亡骸から光が溢れ出したかと思うと、私達の身体が一つに融合していき、

新たな命が誕生したのでした。

そう、これこそが神の御業だったのです。

私は彼に産み直され、赤ちゃんになったのです。

こうして私達は二度目の人生を始めることとなりました。

でもユウトはやっぱり亡くなってしまったのでしょうか?

もう会えないのですか?

そんなことを考えていた時です。

目の前に小さな手が見えました。

驚いて顔を上げるとそこには可愛らしい女の子の姿がありました。

(この子が私の妹になるんだ……)

と心の中で思いつつも彼女に声をかけることにしました。

そうすると彼女は、不思議そうにこちらを見ながら微笑んでいましたので思わず笑みが溢れてしまいました。

そして私は彼女の手を取り、共に生きることを決めたのでした。

それから数年後、私たちは王都へ向かうことになりました。

なんでも、そこでは大規模な事件が起こり、多くの人が犠牲になったそうで、

それを解決する為に勇者の力が必要だと言うのです。

その話を聞いた時、きっとまた彼が現れるかもしれないと思いましたし、彼の為にも役に立ちたいと強く願ったのです。

だから私は、妹と共に王都へ向かうことを決意しました。

目的地に到着した私達は、早速情報を集めることにしました。

王様からは、魔王が復活する予兆があると聞かされていたので、

早く行動しなければという思いで一杯だったからです。

街中を歩いていると、一人の男性が声をかけてきました。

その男性はこの国の兵士さんだったのですが、どうやら私達に何か聞きたいことがあるようです。

話を聞くと、最近各地で異変が起きているらしく、それについて調べてほしいと頼まれました。

何でもここ最近魔物の動きが活発になっているようで、それにより被害が増えているそうです。

そのため早急に手を打つ必要があると言っていましたし、彼もそれを気にしていたようです。

そこで私達に調査を依頼したいということでしたから喜んで引き受けることにしました。

それでまずはこの街で有名な占い師のもとへ向かうことにしましたので、さっそく向かってみることにしましょう。

そんな私達を、王様は呼び止めました。

どうやら王城に招かれたようです。

案内された部屋へ入ると、そこには一人の女性が待っていました。

女性の名は【マリア】さんと言い、彼女は占い師として有名だそうです。

さっそく話を聞いてみると、魔王復活について占ったところ、

近いうちに世界が闇に包まれることになると言っていました。

それを解決するためには、勇者の力が必要だということでしたから、私達は協力することを決めました。

そして準備を進めていると、今度は別の兵士さんが来て言いました。

どうやら何か重大な事件が起きているようで、調査してほしいということですので、早速向かってみることにしました。

その場所へ向かうと、そこは深い森の中でした。

そこで魔物に襲われている村人を発見したのですが、非常に衰弱していましたので急いで保護することにしました。

幸い命に別状はなかったようなのですが、何があったのか尋ねても首を振るだけで答えてはくれません。

仕方なく村まで送り届けてあげることにしましたが、その時偶然にも村長さんと再会することができましたのです。

そこで、何があったのか尋ねてみると、最近村の近くに魔物が現れ始めたせいで、

食料不足に陥ってしまっていたのだと言います。

その結果、病人や怪我人も続出してしまい、壊滅寸前まで追い込まれていたのだと言います。

それを聞いて私は居ても立ってもいられずに、彼女を家まで送り届けることにしたのです。

それからしばらく彼女の家で休ませてもらうことになったのですが、

その間に彼女からいろいろと話を聞くことができました。

なんでもこの村では昔から守り神として崇められていた存在があったそうなのですが、

ある日を境にその姿が見えなくなってしまったらしく、それ以来村に災厄が訪れるようになったのだそうです。

さらには村人たちの中にもその姿を見たと言う者がおり、どうやらこの村の人々は全員その魔物の存在を感じていたようです。

そんな話を聞き終えた後、彼女は私にお願いをしてきたのです。

その内容とは、実は私の妹が行方不明になっているということであり、

どうにかして探してほしいという願いだったのです。

もちろん断るわけもなく了承しましたが、その場所は分からないようでしたので詳しい特徴を教えてもらうことにしました。

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