第47話 看病

だから私も笑顔で答えました。

「……ありがとう、ユウト、本当に嬉しいよ」

その後も私たちは楽しい時間を過ごしていきましたが、帰り道ではお互いに手を繋いだまま歩くことにしました。

恥ずかしくて顔を上げられない私を安心させてくれるように彼も同じ気持ちでいてくれたのか、

「大丈夫だよ、何があっても離さないから」

と言ってくれたことが嬉しくて仕方ありませんでした。

私はこみ上げてくる思いを抑えきれず、ついに涙を流してしまったのです。

でも彼は何も言わず私を抱きしめてくれました。

嗚咽を漏らしながら泣き続ける私の背中を優しく撫でてくれる彼の手は、温かく優しさに包まれているかのようでした。

すると自然に涙も収まっていきました。

そうして落ち着きを取り戻した後、改めてユウトの温もりを感じるように寄り添い合えば幸せな気持ちに包まれることができたのでした。

そんな素敵な時間を過ごすことができたことに感謝しつつ、帰路につくことになりました。

ずっと幸せが続くよう祈りを込めて彼と手を繋ぎながら歩き始めましたが、その時でした。

大きな地震が起き、周りの景色が大きく変化していきました。驚いて周りを見ると、

そこは真っ白い空間で、部屋とも呼べないような場所でした。

そして目の前には、私の身体に宿っていた【神の宝玉】が姿を現しており、

ユウトの全身から光が発せられ、あっという間にその姿も変わりました。

私は驚きましたが、すぐに理解しました。

彼が異世界を救ったのだと……。

その後もしばらく不思議なことが続いたのですが、やがて落ち着きを取り戻すことができました。

元の世界に戻ったんだと思いましたが違っていたのです。

それどころかこの異空間から出ることができないみたいです。

それになぜか身体が重く、思うように動かすことができませんでした。

でも私は元気ですと宣言し、彼を安心させたいと思いましたので明るく振る舞うことに

したのですが彼も無理をしているような感じでした。

それから数日間の間、彼と同じ部屋で過ごしていましたがとても大変なこともあったりと色々大変ではありましたが、

楽しい時もありましたので何とかなるだろうと前向きに考えるようにしました。

そして少しずつではありますが、お互いの絆も深まっているように思えたんです。

もちろん愛を確かめ合った事もありますし、愛を伝えあった事もありました。

その時の事を振り返ると恥ずかしくて顔が赤くなってしまいますが、

それ以上に彼の事が愛おしく思えたのです。

そんな幸せなひと時を過ごしていたある日の事、突然部屋に教会の使いである女性が入ってきました。

名前はレンシアといいます。

彼女は神に仕える神官であり、全ての女性を救済することを使命にしています。

そんなレンシアに私は目を奪われてしまったのです。白く輝く法衣に包まれた彼女の姿は美しく、

思わず見惚れてしまったのです。

でも同時に嫌な予感もしていました。

レンシアは私の身体に宿っていた【神の宝玉】を見るなりこう言ったのです。

「その宝石は危険だ! すぐに立ち去りなさい!」

そう言って私に近づき、手を引き抜こうとしたので驚きました。

まさかそこまで反応するなんて思いませんでしたから、とりあえず話をすることにしました。

すると彼女の方から話しかけてきました。

「失礼ですが、貴女様のお名前をお聞かせ頂いても宜しいですか?」

と言うので答えると、彼女も名乗ってくれたのでした。

それからお互いに自己紹介を終えた後、本題に入ることにしました。

何故危険なのかと尋ねると、レンシアは語り始めました。

なんと、私がこの世界に転移させた彼は異世界を救って人々の希望の光になる存在ではなく、

本来ならありえない強大な力を持っているため危険人物として判断されたのだと言います。

そのため彼が戻る前にこの世界から立ち去ってほしいとお願いされたのです。

きっとそれも彼の計画のうちだったのかもです。

でなければ私を残したりはしなかったでしょうから……でもそれでも彼を愛してしまったんです。

離れることなんて絶対にできませんでした……ですから私はこう告げました。

「私、愛する人を手放しません」

すると彼女は困ったような表情を浮かべた後、黙ってしまいました。

まるでその選択が間違った選択であるかのような顔だと感じたので不安に思っていましたが、

レンシアに促されて家に帰ることになりました。

帰り際に、必ず幸せになれるよう願った所で目が覚めたのである。

長い夢だったけれど、何だか現実のような夢だったと思いつつ、

今日もユウトに会いに行こうと決意したのであった。

家を出てすぐに彼に会い、私は驚きました。

明らかに顔がやつれているし、雰囲気も暗くて力強さを失っていました。

疑問に思いながらも何かあったのか聞いてみたのですが、

何も答えないままで、 どうやら風邪をひいてしまったようです。

私は急いで看病してあげることにしました。

久しぶり会ったのですから、本当は沢山話したかったけれど彼が辛そうなので我慢しました。

ご飯を作ったり、お風呂に入れたりするお手伝いだけでもやるつもりです。

そんな私を見て彼は顔を曇らせていたのですが、病気の時はどうしても気弱になってしまうものだと思ったので気にしませんでした。

むしろ彼のために何かできることが嬉しかったのです。

そうしてしばらく忙しくしていると、疲れたのでしょうか、彼はそのまま眠ってしまいました。

そこで今度は自分が疲れてしまったのでしょうか、眠ってしまいました。

気づいたら朝になっていて、隣を見ると彼が寝返りをうっていました。

それだけですが、見ているだけで幸せな気持ちになりました。

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